ISOT2014:紙製品のまとめ
猛暑に負けてISOTが終わって1ヶ月近くになるのにレビューが終わらないという体たらくになってしまった。それでも、会場で写真を撮ったり、メモしたりしたものも終わりに近づいた。
きたきつねとしては、紙製品についてはどうも力が入らない。他の文房具のようにメカニカルな工夫とか、金型の投資といった部分が少ない分、紙類の方が楽なような気がするからだ。
製品に関していいえば、最近は、印刷や加工技術が平準化してきて、アイデア勝負ということで、新規参入するにしてもハードルが低いのではないだろうか。ノートや手帳では、少部数でもオリジナルのものを比較的低コストで作ることが可能で、小規模な店舗でもカスタムノートを販売することも可能になっている。
もちろん、紙から作るというのであれば別で、大手以外の文具メーカーが用紙まで作るには、ロットの問題も含め相当な覚悟が必要だろう。
商品化してから非常に難しいと思うのは、アイデアや品質が直感的に分からないことが多いことだ。特に独りよがりのアイデアでは、長生きできる商品ができると思わない。
今回、紙製品でいくつか気になったものを見てみたい。気になったというのは、コンセプトがよく判らないという意味もある。
■神戸派計画
「神戸派計画」神戸の大和出版印刷とデザイナーのコラボで立ち上げたブランドで、チェック機能を持つメモ「オリッシィ」1mmから8mmまで8種の方眼ノート「レクト」、白い罫線ノート「シロ」、特抄きの万年筆専用用紙「Liscio-1」、「GRAPHILO」など意欲的な製品が並んでいた。
販売戦略は考えているとは思うが、それぞれの製品の特徴をどれだけユーザーに周知できるか、販売ネットが作れるかにかかっているだろう。
■365notebook
日めくりカレンダーのメーカーの新日本カレンダーが、日めくりカレンダーの用紙を使った380枚のノート「365notebook」を出していた。
日めくりカレンダーの用紙だから、表面がツルツルの薄い紙で、あまり筆記特性は良くないのではないか。紙が薄いので下敷きが付いていて、メモなどに便利なように裏表にそれぞれ5mmと7mm2種類の方眼が入れるなど工夫している。
このノートも店頭に並べておいて、黙っていて売れる商品ではないのので、ユーザーに特徴をどれだけ訴求できるかというところが難しいところだろう。
■紙のミルフィーユ
三洋紙業の「紙のミルフィーユ」ブランドのノート、メモ類が紹介されていた中で、和紙を袋とじにした和装本を洋紙を使って作った「袋とじノート」が目についた。
このノートをみていて、学生時代、資料を見開きコピーしたものを袋とじにして使っていたことを思い出した。
「袋とじノート」の用紙は、銀行の帳簿に使われてきた三菱製紙のバンクペーパーを使っていて、多様な筆記具に対する筆記特性は良いと思う。
袋とじの部分を内側に折り込めば袋としてチケットなどを入れておけるという説明をしていた。しかし、高品質な用紙を袋とじにして、何か効果があるのか疑問なところだ。
定価もA5版で2800円と高価だから、きたきつねは、ペーパーナイフで袋とじを切り開いてページ数を2倍して、バンクペーパーを有効利用をしてしまいそうだ。
■frel.
新潟県三条の印刷会社の岩橋印刷が、紙製品のブランド「frel.」を展開していた。
丸めると動物になるメモの「メモマル」は、他にも何社か類似の製品があって、これが一番シンプルなものだった。この種類のメモは、アイデア次第ということで、少し普及してくると、100円ショップが強敵になるような気がする。
もう一つ、ノートの「フリー ウイング」は、表紙に特徴があって、一枚の厚紙を折り込んで、ペンホールダーにできるようになっている。
「フリー ウイング」は、キングジムの「ペンモ」の対抗馬ということではないだろうけれど、これもユーザーに特徴を訴求することが難しいような気がする。
紙製品の中でも付箋紙は、バリエーションが多くなっていて、内外のメーカーからこれでもかという感じで発売されている。
今回も多種多様、どこかが面白いアイデアのものを出すと、簡単に模倣というか、アイデアを流用した類似の製品がでてきていた。文房具というよりも雑貨になっているのかもしれない。
簡単に作ることができてしまうことで、そしてある程度の市場ができると、100円ショップ商品になってしまうという、悪循環になってしまっているのではないか。
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