パイロットと三菱鉛筆の消せるボールペンに関する戦い
先週、他故壁氏@takokabeujiさんがtweetに知的財産高等裁判所での審決取消請求事件の判決文をツイートしていた。
原告がパイロットインキ株式会社と株式会社パイロットコーポレーションで被告が三菱鉛筆株式会社となっているので、パイロットのフリクションの特許に関するものだと思い知財ポータルサイトで判決文を見てみた。
判決文:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/616/086616_hanrei.pdf
パイロットと三菱鉛筆の文字を消せるペンの訴訟については、2012年にパイロットの「請求放棄」で収束したと思っていが、まだ係争が続いていたのだ。
今回の裁判は、2002年に出願、2003年に公開、2009年に登録された特許第4312987号「摩擦熱変色性筆記具及びそれを用いた摩擦熱変色セット」について、2014年に三菱鉛筆が請求項1から9の無効を特許庁に審判を申し立てたことから始まったようだ。
特許庁は、2016年に請求項1,5ないし7及び9に係る発明についての特許を無効とする審決を出したので、9つの請求項内5項目、それも根幹となる請求項が無効となり特許自体が意味がなくなる事態になった。
そこで、2016年にパイロットインキ株式会社と株式会社パイロットコーポレーションが原告となって、被告を三菱鉛筆株式会社として知的財産高等裁判所に審判の無効の訴えをしたということになる。
その結果、2017年3月に特許庁の特許の請求項1,5ないし7及び9を無効とした審判を取り消すという判決がでたということで、特許第4312987号は確定したということになるようだ。
特許の用語と言い回しは独特の分かりにくいものだし、判決文にある引用例も確認する必要があって大変だった。特許の素人が読み込んだので、間違いはあると思うけれど。大筋は合っていると思う。
この判決で、三菱鉛筆が発売した消せるゲルインクボールペン「ユニボール R:E 」との関係まではよく分からない。熱で色の変わるインクの基本特許は1970年代のものなので切れているようだ。
特許の全文は特許情報プラットフォームで検索して見ることができる。
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コメント
知財高裁の判決は確定した結果、2017年7月にパイロットが三菱鉛筆が特許を侵害しているとして「アールイー」の販売差し止めの仮処分を東京地裁に申し立てたようだ。
投稿: きたきつね | 2017年10月28日 (土) 22時34分