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2017年10月27日 (金)

書籍:紙の日本史 古典と絵巻が伝える文化遺産

きたきつねは理科系なので、紙の歴史というと、どうしてもどこから製紙技術が伝来したとか、材料、製法、紙の大きさの変遷などの技術的な切り口で考えてしまうので、ちょっと視点を変えて紙がどのように使われて来たかという文化史的な方向から考えてみたいと思って池田 寿「紙の日本史: 古典と絵巻物が伝える文化遺産」(勉誠出版)を読んでみた。

目次だけ見ると、紙漉き、紙の機能と用途、紙名と紙色、反古紙と普通なのだけれど、内容は奈良から安土桃山時代における紙のについて古典や絵巻などの原典に記述、描かれた紙に関係するファクトを詳細に調べたものだ。

昔の文物、技術、事象を知るには、遺跡からの出土品だけでは詳細は分からず、類推、想像するしかない。古典、絵巻物などがあればより具体的かつ真実に近いことが分かってくる。

この本で扱われている平安時代の製紙技術は、現在残されている技術と同じものではあるかどうかは分かりようがないけれど、古典や絵巻に描かれたものがあれば、比較可能になる。

奈良・平安においても一般民衆が使うことは叶わないにしても、多様な紙が生産され、書写用途だけでなく多様な目的で使われていたというのは興味深い。

紙が貴重であったことから、裏紙の利用、ふすまの下張り、漉き返しなど保古紙の再利用が徹底して行われていたようだ。

この本とは直接関係ないけれど、引用されている古典や絵巻物など紙に書かれたり、描かれたものや印刷されたものが千数百年年後にも見ることができる。それに対して、現在人気の電子書籍や画像などは電気がなくなった途端にアクセスすることが不可能になるという危ういものだ。まだ電子書籍などは二十年ほどの歴史しかないから、時間が決めてくれるのだろう。

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