韓国のLETI社の「テープガン」
ニチバンのテープカッターの新製品「プッシュカット」を紹介したけれど、元々は韓国のLETI社の「テープガン」がオリジナルで、それをニチバンがOEMで「ハンドカッター」として2006年に国内で発売したものだ。
ハンドカッターが2011年に発売終了していて、ドラパスが輸入して販売していた同じ製品の「おもしろカッター」もほぼ同じ時期に市場から消えている。
LETI社が倒産して生産を止めてしまったのではないかときたきつねは想像している。現在、韓国ドメインのHPは消えてしまって見ることができない。
このままだと非常に良くできたLETI社の発明「テープガン」が世の中から消えてしまうので、情報を整理しておきたいと思う。
LETI社は発明ベンチャーで「接着テープ自動引出し兼カッティング装置」を発明していて、台湾(1999)、韓国(1999)、アメリカ(2000)、日本(1999)で特許が登録されている。現在では全ての特許期間が過ぎているので、縛りはなくなっている。
特許を調べてみると、発明者は特許権者 李 相▲ちょる▼(漢字が不明)となっている。
ニチバンは、この特許切れに合わせて「プッシュカット」を発売してきたのでないだろうか。その時にテープのカット機構の製造が難しいので、簡略化したものだろう。
「テープガン」のオリジナルであるドラパスの「おもしろテープカッター」を細かく見て置きたい。「おもしろテープカッター」はLETI社の「Automatic Tape Dispenser Model No. L-920-T」に相当するもののようだ。
使用できるテープは、19 mm×32.9 m(3/4 in×1296 in)となっているけれど、芯の内径が1 in(25.4 mm)の小巻テープが使える。
引き金を引くと、回転するドラムにより接着テープを引出し口を通ってテープが出る。一回の動作でテープの出る長さは約13mm(1/2 in)となっている。
回転ドラムは接着テープの接着面との接触面積を最小化するように外周面をギヤ形状にしている。
必要な長さになるまで引き金を引いて上部のスライダーを手前に引くとテープがカットされる。長いテープが必要な時には引き金を一回引いて出たテープを指で摘んで引っ張ることで任意の長さのテープが引き出せる。
このテープをカットする機構はテコの原理を使っていて非常に巧妙にできている。スライダーを引くと、V字型の刃が下がってきてテープを切断する。
テープを切る時にテープが出てくるスリットにものが入らないようにシャッターが降りてくる安全機構も備えている。
ニチバンはこの機構を作ることができなかったので、プッシュカットでは単純に刃を押し込んで切るようにしているようだ。
ニチバンが発売していたハンドカッターはLETI社での型番は以下のようだ。
ニチバン メンディングテープハンドカッター OMD-15D
Model No. L-920-M
ニチバン ナイスタック ハンドカッター NW-12D
Model L-229-W & L-929-W(Paper tape dispenser)
「テープガン」をISOT2000で紹介されたときのカタログを載せておく。
最後に「テープガン」の特許と企業情報を記録として残しておきたい。
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