100円ショップでの国産文具メーカー商品の展開
100円ショップはユーザーにとって文具店であまり目にしない商品や通常価格の高い商品が、デザインや品質は劣るけれど100円のワンプライスで購入できるということが大きなメリットになっている。
商品によっては、市場価格の数分の一から数十分の一の価格で買えたり、国産メーカで作っていない商品もあったりユーザーにとっては文房具売場を回る楽しみがある。
これまでも100円ショップの文房具については、いくつかとりあげきている(*1、*2、*3)。最近、100円ショップも少し違った傾向が見られてきたので整理してみたい。
初期の頃は中国メーカーの製品が中心だったけれど、中にプラチナ万年筆やセーラー万年筆の製品が混っていた。
その他、時折他国産メーカーの在庫整理の商品が入荷することもあったけれど、継続することはなかった。
その後、少しづつゼブラ、トンボ、三菱鉛筆等の製品が混じり始め、最近は主なメーカーが何らかの商品を出荷するようになってきている。
普通は定価150円前後の商品が主流だったけれど、途中から定価100円の商品や100円ショップ向けに入数を調節した商品が並ぶようになってきている。
三菱鉛筆はキャンドゥ向けに什器まで用意して100円の定番商品を展開するようになっている。
最近になって100円ショップには出荷しないといわれていたパイロットが、ダイソーやセリアに定価100円の商品を展開し始めた。
定価100円の商品を100円ショップで100円で売るというのは、他の文具店に対する影響がないと考えたのだろう。
ヒット商品として大量生産できている定番商品は、金型や設備の償却が進み、製造原価が低下しているのと、もともと文房具そのものの卸値は安く、利幅の大きな商品だということもある
だから、利幅が10%から15%としかない書籍に比べて、利幅が数倍の文房具を大型書店が扱い始めたのだ。
もともと、地方の中小書店は文具店を兼ねているところがあって、文房具の利益を合わせて経営していたところもあるのだけれど、地方公共機関の入札、アスクル等の通販、後継者、人手などの問題も含めて廃業するところが多くなっているから、大型書店も遠慮なく文房具販売ができているということもあるだろう。
メーカーとしては、小規模な文具店を相手にするよりは、流通量の多い大型書店はメリットがあるのだろう。
さて、100円ショップの問題に戻ると、定価100円の商品を100円ショップで売るということは、周辺のスーパーやホームセンターなどの商品価格のほうが安くなるという逆転現象が起こることになる。
100円ショップの商品のほうがスーパーやホームセンターより高くなるものは意外と多くあったりしていたけれど、ユーザーにとってはありがたくない。
文房具メーカーの視点を考えると、中小の文具店が減ってきて販売チャネルの変更を進めているのだろう。
店舗数からいえばコンビニを考えるだろうけれど、店舗面積から販売アイテム数が限られるだけでなく、文房具は間に合わせ需要が多いので販売量にそれほど伸びが期待できない割には取引条件が厳しくめんどくさいようだ。
それに比べて100円ショップは店舗数も増え売り場面積に加えてものによるけれど販売数量も期待できるし、メリットが大きい。
また、セリアを除く100円ショップがワンプライスをやめて価格の複数化路線に転換してきているので、他の価格帯の商品も販売できる可能性もあり、メーカーとしては戦略を練っていることだろう。
100円ショップにしてみれば、取り扱い数量の多さから取引条件もよく、定価100円の商品を定価で売るのだから利幅も大きく大歓迎ということになるのだろう。
100円ショップの国産文具に関しては、三方良しではなくユーザーだけが損になるようだ。
なんだか一昔前のディスカウントストアーがバッタモノから正規の商品を扱うようになって魅力がなくなってしまった時に似てきたような気がする。
100円ショップの文房具の発見を楽しみにしているきたきつねとしては、文房具売場を国産メーカーの草刈場にして欲しくない。
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