万年筆のスリップシール
プラチナの廉価版万年筆「プレピー」が2007年に発売されて15年になる。
プレピーの画期的な点は非常に低価格だということではなく、ペン先のドライアップを防ぐことのできるペン先を密封することのできる「スリップシール(Slip Sheal)」を採用したところだ。
万年筆は毎日使っていないと、キャップの密閉度が低いのでインクが乾いてしまって書けなくなってしまう。
このペン先がドライアップすることは万年筆の最大の欠点といっても良いだろう。
ドライアップしてしまうと、水分が蒸発して濃度が濃くなったインクや固着したインクを洗浄する必要がある。
インクが無駄になるし、洗浄する時に手が汚れたりする。
スリップシールがあるプレピーは、1年使わずに置いていても、ドライアップせずにすぐに書き出すことができる。
この機能は画期的で、プラチナは自社の高級万年筆にも採用し始めている。
ダイソーの中国製万年筆にもスリップシールと同じ機構を採用している。
国産メーカーのパイロットも最近発売した「ライティブ」に「インナーキャップ」という名前の類似の機構を採用している。
インナーキャップ的なものは以前からあって、キャップの内側にポリエチレンのキャップを着けたものはあるけれど、密封度が低いのでドライアップは防ぐことが完全にできていなかった。
スリップシールでは、インナーキャップをバネで抑えるという方法を採用しているから、密封度があがりドライアップを長期間防ぐことができるようになっている。
キャップの中にペン先を密封するものは見たことがあるぞということで、古い文房具をしまってある箱をさがしてみたところ、直液式ボールペンににインナーキャップが使われているのが分かるものがあった。
ノック式になる前は、ペンチップの構造が簡単だったので、水性ボールペンやゲルボールペンなどはペン先のドライアップや上向きに置かれていると空気が入る可能性があったから、インナーキャップが必要だったのだ。
OHTOのローラーボールペンCFR-157NPではインナーキャップが使われているのがわかる。
キャップ式のゲルボールペンでも、ペンチップの先端部分をカバーする部品が使われているし、今も使われているものがある。
万年筆にも使われているものがあるけれど、キャップが不透明で中が見えにくいので、写真撮影は今後の課題としよう・
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