三菱鉛筆がドイツのLAMYを連結子会社へ
三菱鉛筆から「C. Josef Lamy GmbHの持分の取得 (連結子会社化)に関するお知らせ」というプレスリリースがでた。
目的は以下らしい。
(1)海外における販売体制のさらなる強化
(2)Lamy社が持つブランド力の獲得
(3)Lamy社が持つデザイン力の獲得
(4)Lamy社が持つ技術力の獲得
(5)両社で持つ商品カテゴリーの重複のなさ
文房具仲間は今時、どうしてという反応が多い。
海外展開を図るにしても廉価版万年筆メーカーのLAMYを完全子会社にする必要があったのか、素人には分からない。
これまでも、高級ボールペン「Steward」やパワータンクの劣化商品「3&bC Pt7」、キャップ式油性ボールペン「レイヤード」を取り上げてきたけれど、三菱鉛筆は技術力があるのに企画力、デザイン力がも一つというところがあるのと、鉛筆製造を祖業としているからか、高価格帯の製品を開発するためのイメージや品質に対する姿勢がわからないと思っている。
ビジネスと全く関係のないユーザーとしては、これからどのような展開になるか見ていきたいと思う。
そういえばと思い2000年12月から2005年2月までニチマのメールニュース「文マガ」に書き続けてきたコラム「きたきつねの文房具道一筋」の中に、21年前に三菱鉛筆のことについて書いたものがあった。
文房具メーカー評 三菱鉛筆
父親が図面を引く時に使っていたあのアズキ色の三菱の高級鉛筆「ユニ」は、子供の頃の憧れだった。学校で使っていた鉛筆と比べて、軸の木も滑らかで、良い匂いがした。短くなったユニを父親から下げ渡して貰って、ナイフで削ると、抵抗なく綺麗に削れ、書いた文字も心無しか上手くなったような気がしたものだ。
日本で始めて鉛筆を作った真崎鉛筆が前身で、三菱財閥とは関係ないなどの知識は中学生のころにだれかから聞いて知っていた。
高級鉛筆「ユニ」、「ハイユニ」のイメージが強かったが、高度成長期に、鉛筆メーカーから「uni」ブランドの総合筆記具メーカーとなっている。手許の資料を見ていたら、昭和44年発売の純黒油性ボールペンBA-30のテレビCM「まっくろけのけ・・・・」というコマーシャルをふと思い出してしまった。
ゲルボールペンにブルーブラックなどの伝統色を取り入れたりしているが、他社の製品の後追い的なイメージが強い。しかし、技術的には見るべきものがあると思う。最近でた加圧ボールペン「パワータンク・スタンダード」は、金属レフィルでしかできないと思われていたレフィルをプラスチックで作るという技を見せてくれている。
気になるのは最近の製品のデザインの中途半端さである。企業としての統一イメージがあるわけでもなく、ユニバーサルでザインでもない。もっと力のあるメーカーだと思いたい。
(2003.3.3)
三菱鉛筆は、技術力があるのにそれを活かすデザイン力が不足しているのは、昔から変わっていないということだ。デザイン力というのは見た目のことではなく、ユーザーの使用目的や使用場面を考えた製品開発の総合的力だろう。
売れている商品の、色を替えたり、キャラクターを持ち込んだりすることではない。
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