白い壁に
蓑虫がコンクリートの壁を登っていた。どこかの木にぶら下がっていたのが、何かの拍子で落ちてしまったのだろうか。木の枝と葉を糸で綴って作った蓑の中にいるのは芋虫で、時折枝からぶら下がって、風に吹かれているのを見ることがある。でも、壁を登っているのを見るのは、初めてだ。蓑虫は、やがては蛹になって羽化してミノガになるのだけれど、ミノガというのも見たことがない。
今日は、タイから5人の客人がやってきた。何でもタイの科学技術庁のようなところの人で、結構偉いらしい。沖縄、東京と回ってきたということで、残りの一日をこちらにきたようだ。案内は若い人に任せて、ちょっとだけつき合うことになった。
三人は英語が非常に上手い。聞いてみたら、アメリカとイギリスに留学経験があるということだった。中の一人は、昔二年間京都大学にいたということで、日本語が話せた。二人はそこそこで、あまり喋らない。こちらはというと、日本語は流暢なのだけれど、英語はからきしのほうで、いつものように冷や汗を大量にかいてしまった。
昼に刺身の入った弁当を出したが、中国からきた人達と違って刺身はとても好きだという。でも、ワサビを山ほど醤油に入れるのにはビックリした。唐辛子と辛さの種類が違うが、やはり辛味が強くないと食べた気がしないみたいだ。
お土産に梨を買いたいといって、スーパーに買いにいったようだ。日本の梨は甘くて瑞々しいので、タイでは高級な果物らしい。今は、豊水が終わりの頃で、値段もだいぶこなれてきているので、気楽に買えるのではないだろうか。日本から出国するときは問題ないだろうけれど、タイの入国の時に問題にならないのだろうかと、変なことを心配してしまう。
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