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2004/09/13

養老教授の環境論

養老孟司さんの「いちばん大事なこと」(集英社新書)を読了した。時間がないのに、いくつもの本を平行で読んでいるとあるとき一気読み終わることがあるものだ。

養老大人の唯脳論をベースにした環境論だ。自然保護絶対主義の人達が陥りやすい感情論、開発絶対主義の人達の信ずる発展至上論などを超越した、環境論になっている。

環境や資源と経済を同列に扱うのは間違ってると思っていたが、環境と資源は実体で経済は実体の無いものという解釈はすばらしい。落語の「花見酒」で経済を説明すれば、子供でもわかるのだろう。経済は国が保証した紙屑で維持されているとはっきり言える人はそれほどいないと思う。

具体的に、具体的にこれでもかというくらい具体的に環境問題を説いている現代の賢人「養老孟司」の環境論は、非常に共感できた。一時、エネルギー関係の仕事をしていたので、その時から考えてきた資源環境論と骨格は同じだ。

現代の賢人「養老孟司」の環境論は、もう一人の現代の賢人「宇沢弘文」の農的社会に通じるところがある。宇沢さんは、経済学者として環境保護の費用と便益を客観的に評価して政策の優先順位をつけることの無意味さを悟ってから、生命と農業を考えるようになったのだろう。養老さんが強調しているように、DNAがや生命の原理が分かっても生命は創りだせないこととも通じる。

生命は増殖することができるが、コンクリートの固まりは自ずから増えることはない。命を失った生物は、生き返ることもないし、増えることもできない。それが環境論の根源なのだろう。

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