農業は人類の原罪である
成人の日で特に予定もないので、半日本を読んでいた。
前から読みたいと思っていたコーリン・タッジ(竹内久美子訳)の「農業は人類の原罪である」(新潮社)を読み終えた。農業の発生をユニークなアイデアで整理している。確かに1万5千年前ころに急に農耕が始まるというのでなく、4万年前ころから農耕の萌芽があって、徐々に農耕への依存が始まったというのはうなずける。
人類は、農業を始めたために、狩猟や採集とちがって、あらゆる努力を払って農業を続けなければならなくなったというのは、正解かもしれない。人類は一年中農作業に追われることにことになり、飢えの恐怖に曝されることになったのだろう。
昔、東北地方で飢饉になると、人々は山に入って暮らしたということを聞いたことがある。農作物がとれなくても山で採取生活で生き延びることができたらしい。狩猟採取の場合の労働時間は、非常に短かったようだ。そういえば、TBSのウルルン滞在記でも、狩猟採取民はそれほど勤勉に食糧を確保しているようには見えない。
エデンが氷河期のペルシャ湾にあったという話は、非常に興味ある。海面が氷河期に200m下がり、ペルシャ湾が平坦な肥沃な土地となって豊かな暮らしがあって、それが言い伝えとして残ったという仮説は説得力がある。その他、ネアンデルタール人が絶滅した理由、旧約聖書には農業に関する記述が沢山あるといった面白い内容もあって、ページ数は少ないが中身が濃いと思う。
午後は日の出ている内にということで、散歩に出かけた。近くの調整池のフェンスにカワセミの雌が止まって水面を見ていた。毎年、冬になるとカワセミが越冬している。ブラックバスやブルーギルが多いので、小魚は少ないと思うが、何を捕っているのだろう。散歩コース一周で18種類の野鳥を見ることができた。手振れ防止付きのお散歩カメラのアナログ+デジタルで36倍ズームは、メモに威力を発揮している。
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コメント
人間の労働時間は,狩猟採取時代が最も短くて一日3,4時間,そして現代のポスト工業化時代が最も長い,という話を聞いたことがあります.本当かどうかわかりませんが,時代とともに人間が忙しく追い立てられるようになり,敗者が生まれ,未来に希望を見出せない人生を送るようになる,というのは説得力がありますね.
投稿: 俊(とし) | 2005/01/16 10:47
残業を月何百時間という心を忘れて働いて、寒さも飢えもない世界に暮らすことが、農業を始めた結果として、自然を破壊した人類の原罪ということになるのでしょう。
投稿: きたきつね | 2005/01/16 22:53