« 地理的な感覚の違い | トップページ | 一生酒は飲まない »

2005/03/10

コシヒカリBL

日経ビジネスに『コシヒカリBL』の話題が出ていた。新潟県では従来の『コシヒカリ』に代えて『コシヒカリBL』を導入することで、魚沼などの産地が抵抗しているという話だ。複数の籾を混ぜるから違う品種だというひとまででているようだ。きたきつねは、専門家ではないけれど、耳学問で分かっている範囲で整理してみた。

『コシヒカリBL』というのは、稲に重大な被害をもたらす「いもち病」に抵抗性を持った品種群のことで、これまでも『ササニシキBL』というササニシキが宮城で作られていて、『ささろまん』というブランドで売られている。「いもち病」というのは「稲熱病」と漢字で書き、稲が熱にあったように枯れてしまう病気で、この病気にかからないように農薬を散布している。よく初夏にヘリコプターで空中散布が問題になっているあれだ。

「いもち病」には「穂いもち」、「葉いもち」など何種類もの菌があるらしい。米の品種開発でも「いもち病」に抵抗性のある品種を開発している。ところが、コシヒカリ神話のおかげで日本で栽培されている水稲の三分の二が、「いもち病」に弱いコシヒカリとその子供達になっていしまった。そのために全体として「いもち病」への抵抗性が落ちてしまっている。そのため農薬を使わずに栽培ができない状態になっている。

そこで、「いもち病」に強いコシヒカリの登場となったわけだ。コシヒカリの品種の特徴を失わないようにしながら、「いもち病」に抵抗性のある遺伝子を取り込んだ品種が『コシヒカリBL』ということだ。一品種で何種類ものいもち病菌に抵抗性のある品種を作ることは非常に難しいので、8種類の抵抗性遺伝子をそれぞれ組み込んで8種類のコシヒカリを作りだしたので、同質遺伝子系統(IL:Isogenic Line)とよばれている。BLというのは、Blast resistance Lineということで、いもち病抵抗性系統ということだ。

この『コシヒカリBL』を何種類か混ぜて栽培することで、農薬の使用量を減らすことができ、食品の安全性や環境への影響を軽減できるという利点がある。さらに『コシヒカリBL』はコシヒカリと抵抗性遺伝子が違うので、DNAを調べるとすぐに判るので、偽物を排除することも簡単にできるという利点があるということになる。新潟のコシヒカリというブランドに便乗して、他県のコシヒカリが売られ消費者を騙しているけれど、それを防ぐことができる。『コシヒカリBL』に抵抗しているのは、実は米穀商だったりして・・・。

消費者は、有機だとか無農薬の農産物というが、虫食いの野菜は売れない。つるつるピカピカの野菜を作るには沢山の農薬をまかなければ作れないことを消費者が判らなければいけないと思う。『コシヒカリBL』は環境に優しいコシヒカリを食べたい人達にとって期待の星ということがいえる。

それよりもコシヒカリ神話を捨てる方がいいと思う。同じ品種ばかり作っていると、病害が出た時に全滅ということも起こりうるだろう。実際、どれだけの人が米の食味が判るのだろうか。海外のブランド品を買い漁るように、コシヒカリというブランドだけで買っている人が多いのではないだろうか。コシヒカリ以外にも美味しい米があるし、同じコシヒカリといっても、栽培する場所や管理でずいぶんと食味が違うから、自分の舌で判断することが大切だと思う。

ご飯、ピラフ、丼物、チャーハンなど食べ方によって、米の品種は違うのが本当だと思う。同じコシヒカリでも、新潟のコシヒカリはご飯に向いているし、九州の早場米地帯のコシヒカリは固めでチャーハンなどに向いているといった違いがある。今は幻になっている牛丼には、北海道の『きらら397』が適していたりする。

|

« 地理的な感覚の違い | トップページ | 一生酒は飲まない »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: コシヒカリBL:

« 地理的な感覚の違い | トップページ | 一生酒は飲まない »