チープレイバー・ギフト
「チープレイバー・ギフト」という、面白い言葉を見つけた。ドイツ証券副会長の武者陵司氏が作った言葉らしい。
「チープレイバー・ギフト」というのは、「中国の貧困層を中心とする労働者が低賃金労働をすることにより世界経済に付加価値を生んでいる状況を世界経済に対するギフト(贈り物)だとする見方」だ。
低賃金で生産された安い商品を先進国が享受している。その頂点にいるのがアメリカで、昔は日本も台湾も「チープレイバー・ギフト」を提供していた。今は、日本もアメリカと同様に、「チープレイバー・ギフト」を享受している。
アメリカは、今、最大の貿易赤字を生む対象である中国の元の切り上げを求めているが、そうすると世界の工場になっている中国からの「チープレイバー・ギフ ト」受け取ることができなくなるので、昔日本などに求めたような強硬な通貨レート切り上げを求めることができない。同じように中国も膨大な貿易黒字を失い たくないということで、協調しているともいえる。
日本も昔は、1ドル360円という通貨レートのもと世界の工場として、安い労働力を提供していたけれど、所得が上がって、通貨レートも1ドル100円以下となって、世界の工場の座から転落してしまった。
中国の沿岸部の賃金が上昇してきているために、「チープレイバー・ギフト」をくれる国を探して、先進国はベトナムやミーヤンマーなどの国々に触手を伸ばしている。
順々に低賃金の国が、世界の工場に変わっていくかといえば、それほど簡単ではないだろう。工場になるためには、ある程度の民度が必要だ。ところが、欧米の植民地だった時期が長い国ほど、収奪だけで、教育などを残していないから、民度が低く低賃金ではあるけれど、工場となるのは時間がかかるのだろう。
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