ガイアの夜明け
今日のテレビ東京の「ガイアの夜明け」は、「食料争奪戦 ~ニッポンの食卓に忍び寄る危機~」。アメリカがトウモロコシで バイオエタノールを作っているために、穀物相場が高騰しているという内容。
以前から書いているけれど、アメリカのバイオエタノールは、地球温暖化は隠れ蓑で、ブッシュの国内農業政策だ。国際流通している穀物は、常に十分な量があるわけではないので、微妙なバランスにある。だから、一番安くて、単位面積当たり沢山取れるトウモロコシを、バイオエタノールの生産に回すと、一気に流通量が減るので、価格が高騰するのだ。
価格が高騰すれば、アメリカの農家は沢山取れるトウモロコシを選択するから、大豆や小麦などの他の穀物の生産量が減少し、こちらも価格高騰になる。これはどう転んでも、農家にとっては、生産物が高く売れるのだから、願ってもないことだ。バイオエタノールとブッシュ大統領様々ということになる。バイオエタノールは、アメリカ国内の農業政策で、他国が食えないといったことは関係がないということだ。
トウモロコシのバイオエタノールの生産に、大量の石油が投入されていて、決して二酸化炭素減少に効果があるわけではない。
このあたりについては、サイエンスライターの松永和紀さんの「松永和紀のアグリ話●単純思考の果てに……バイオ燃料研究バブルが始まった」に詳しい。農業環境技術研究所の秋山主研の次のような分析を引用して、この問題を整理してくれている。
a.石油の中東依存を軽減したい(安全保障対策)
b.国内農業の保護
1)農家の所得安定
2)農産物の価格維持
・農業補助金からの切り替え
・WTO農業交渉の加速
c.農村での雇用創出
d.内需の喚起
この中に、地球温暖化というキーワードが無いことがわかるだろう。
ただこのサイトは月額500円の有料サイトというのは残念だ。でも、他のコラムも含めて食の安全安心に関する有益な情報をたった500円で手に入れることができるというのは、週刊誌を読むよりもいいと思う。
これに関連して、経済アナリストの森永卓郎氏の「食べ物を燃やす ― 何かおかしい今のバイオ燃料」の「バイオエタノール」=「車の燃料」という単純な分析は底が浅いと思う。勉強不足だろう。
中国は、トウモロコシの備蓄が無くなってきたので、バイオエタノールの生産は去年から中止になったこともあまり報道されていないのが、不思議だ。
「ガイアの夜明け」の中で、緑大豆のことがでて来たが、日本でも長野県で作られているし、国産品種がいくつもある。問題は、国産では生産量少なくと価格が高くなることだと思う。
どちらにしても、日本のように先進国で、食糧自給率が40%以下で、大量の食糧を輸入している国はないのに、国民が危機感を持っていないのが不思議でならない。
実際に、スーパーに行ってみると、小麦粉の袋の中身が、1kgではなく、700gになっていた。ペットフードも、10kgだったものが、8kgのものが増えている。
今に、手に入る大豆やトウモロコシは、全部遺伝子組み換えになる日も近いだろう。日本人は、食品を選ぶことができなくなる日が、ヒタヒタと迫っている。「亡国のイージス」のヨンファの言葉ではないけれど、「飽食ボケの日本人これが食料戦争だ」ということになるだろう。
| 固定リンク
コメント