ヘヤースプレー
夜は、シネマコンプレックスで昨日からロードショーが始まった「ヘヤースプレー」を見に出かけた。
オープニングで、「ボルチモア大学は黒人の入学を拒否」というニュースがバックに流れるのが象徴的だった。
BIGな女の子がダンスで有名になるというサクセスストーリーではなく、1960年代のロックンロールのコミカルなミュージカルで黒人差別と差別撤廃を訴える話だ。
つい先日も、DNAの二重らせんを発見したノーベル医学生理学賞受賞者のワトソン博士が、サンデータイムズのインタビューで「人種的に劣っている」という発言をして物議を醸し出したばかりだ。
それにしても、トレーシー役のニッキー・ブロンスキーは、歌は上手いし、ダンスも切れがあるし、よくこれほどすてきなBIGな新人を見つけたものだ。きたきつねは、ニッキーのお父さんと同じ嗜好なので、見ていて非常に共感した。
トレーシーのお母さん役の、ジョン・トラボルタの特殊メークはなかなかのものだ。ただ何故ジョン・トラボルタを特殊メイクまでして女装させる必要があったかどうかはよくわからない。
アメリカの有色人種差別は今も酷いけれど(日本も差別はある)、昔は同じ教室で授業を受けることも、テレビの番組も別という酷い状況だった。台詞も、白人が黒人の蔑称のニガーを使い、トレーシー達はカラードピープルと使い分けしているのが印象に残った。台詞の違いがわかるのは、字幕版だからで、吹き替え版では同じ言葉で終わっていただろう。
久しぶりに時間を忘れて見てしまった。十分楽しめた。
今回の映画を見て思うのだけれど、映画はこれくらいちゃんと嘘をつかなければいけないという見本だと思う。この映画を見ると、同じ1960年代を扱った「ALWAYS三丁目の夕日」のセットの貧弱さや細かなところのいい加減さは許せない。時代設定で当時発売されたばかりのオート三輪が遺跡から出てきたようなボロなのに比べ、この映画の自動車はちゃんと時代を生きていた。
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