安原製作所回顧録
出先の書店の文庫売り場で、目に入ってきた本が『安原製作所回顧録 』だった。
以前、カメラ雑誌で『安原一式』というレンジファインダーのカメラの話題を見たことを思いだして、パラパラと見てみると面白そうなので買ってきた。
読んでみると、たった一人で立ち上げたカメラメーカー「安原製作所」の誕生から、休止までの物語だ。コンタックスの一眼レフの設計をしていた安原伸さんが、会社をやめて、思いついてカメラメーカーとして、中国の工場でカメラを作ってしまうという話はカメラ好きとしては見逃せないものだった。
『安原一式』がある程度売れたのは、インターネットの普及とシンクロしたことが幸いしたということもあるだろう。
安原さんのカメラに関する考え方が、きたきつねと同じで非常に安心した。カメラは写真を撮る道具で、どんな高級なプロ用のカメラを持っていても写真を撮らなければ意味がないこと、昔のカメラは当時の最高の技術で作られていても、現在のカメラにはかなわないことなど、はっきりとした考えを持っている。
アンティックなレンズを使って、「やはり味がある」などという話があるけれど、単なる気分でしかないともいう。実際、アサヒカメラの2月号に、デジカメ専用レンズと従来のフィルムカメラ用のレンズの解像度を比較した記事があるけれど、デジカメ用のレンズの方が解像度や画像の鮮明さがよくなっている。
日本最後のフィルムカメラメーカーがまた復活する日が来るのだろうか、注目していたい。
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