『ほんとうの環境問題』を読む
養老孟司さんと池田清彦さんの昆虫大好きペアが3月に出した『ほんとうの環境問題』を読み終わった。
今注目の温暖化を含む地球環境問題について、それぞれの考えを述べた後で、対談という構成となっている。
環境問題について、非常に極論の様だけれど、京都議定書の欺瞞、文明とエネルギーの問題など正鵠を射ている部分が多く、考えさせられる。
養老先生の環境問題についての認識は、きたきつねと大きくは違っていなかった。池田先生も養老先生と似た考え方で、日本のあるべき姿を明確に論じている。
木材やわら等を使ったバイオエタノールについて、「考えてみれば、簡単にリグニンやセルロースを分解してアルコールが出来るのなら、たとえば杉の間伐材からつくられたような酒がすでに出回っていてもいいはずである。そんな木の酒がつくられないのは、技術的に難しいからだ。」と、本質を突いている。
石油中心の社会から離脱しなければ、未来はないことは明らかだろう。
ただ、きたきつねには幾つか違和感がある部分があった。特に、池田先生は、農業に関して、専業農家だけが頑張ればいいというけれど、日本の農業は兼業農家のボランティアで成り立っていることを忘れている。
例えば、1ヘクタールの水田で米を作った時の売り上げは、特別な地域を除いてどんなに頑張っても200万円にならない。売り上げから、肥料、資材などの経費を除くと、農家の手取りは半分にも満たない。
でも、兼業で農外所得があるので、田植機、トラクター、コンバインなどを購入することができるから日本の農業が続いているのだと、きたきつねは考えている。専業農家だけだと、日本の農業は続けられていないだろう。
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