「大野病院事件」が無罪
今日、福島地裁で、帝王切開手術で女性を失血死させたなどとして、業務上過失致死罪などに問われた加藤医師に対して無罪判決がでた。
「ノーフォールト」の日記の中に書いたけれど、医療に対してリスクが無いと考えるのは非常に難しいと思う。この逮捕、起訴によって、産科医療の崩壊にまで結びついてきている。
クスリの取り違え、未熟な技術で過誤など明らかな医療ミスによるものは、問題外だけれど、力を尽くしてどうにもならなかったということはあってそれが事故となったら医療は成り立たなくなるだろう。
死亡した女性の夫は、この判決についてどう感じているのだろうか。
養老孟司先生の「ぼちぼち結論」(中公新書)に、この件に関して次のような記述があった。
|一人で必死に働いている病院の医師が、殺人罪に問われたりしている。医者が患
|者を殺すつもりで扱っていることないなんて、あまりにも当然であろう。しかし患者さん
|が死んだ以上は、何か手落ちがあったに違いない。そういう理屈になる。それはむ
|ろん医師の責任だから、補償のためには、まず医師の責任を問わなければならな
|い。だから私は臨床医にならなかった。私が医師なんかやったら何人殺すかわか
|らない。私みたいな人間が増えれば、医師は当然いなくなる。患者は自分の面倒
|を自分で見ることになろう。それはかなり不自由な社会になるはずである。
自分で自分の首を絞める。自縄自縛ということだろう。アメリカでは、医療訴訟が多発し、高額な補償のために、医師がかける保険料がべらぼうになり、保険料が払えず医師を廃業するひとが出てきているらしい。そんな社会に住みたくない。
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