地球最後のオイルショック
先月、北海道の十勝に行ったときに、車窓に広がる農地で収穫作業をしているトラックターを見ながら、石油が使えなくなったらどうなるのだろうと、不安になった。日本の農業は、石油に支えられていて、石油依存率が99%と他産業に比べると以上に高くなっている。
老齢化、後継者不足、労働力不足などからトラクターなどの機械化が進み、肥料、農薬、資材などは、ほとんど石油が原料となっている。だから、原油の供給が止まると、食料自給率はさらに小さくなることはあきらかだ。
それに日本の輸送はトラック輸送が主となっていて、輸送用燃料としては80%以上が石油に依存している。十勝の食糧自給率は200%もあるけれど、自給率数%で、人口が数千万人いる首都圏へ食料を運ぶには、輸送用燃料が不可欠だ。昔は地方の物流の柱であった鉄道が、自動車のために幹線を残してほぼ絶滅状態となってしまっている・・・などといろいろと考えてしまった。
北海道に行く前に読み終えた、デヴィッド・ストローンの『地球最後のオイルショック』のインパクトは非常に大きかった。ソニア・シャーの『「石油の呪縛」と人類』をさらにスケールを大きくして、未来を見据えた内容となっていた。
私たちの生活する社会の隅々まで石油によって構成されていて、それが足りなくなった時にどうしたら良いかわからなくなってしまうほど影響があることをひしひしと感じてしまった。
有限の資源を使い続ける限り必ず枯渇の問題があり、石油でいえば賦存量の半分を使ったピークオイルがもう現実のものとなりつつある。ピークオイルに到達すれば、石油供給量は激減し、その時に起こるオイルショックは、回復の見込みのない「最後のオイルショック」になる。
著者は、非常に多くの企業人、科学者などを取材して「最後のオイルショック」現実を私たちに見せてくれている。
きたきつねのエネルギーに関する考えの甘さを思い知らされてしまった。レスターブラウンの『プランB3.0 人類文明を救うために』も、きたきつねよりももっと甘く感じられた。
原子力や風力エネルギーなどに転換すればという考えもあるが、「資源を消費しながら、資源を守ることはできない」ということを前提にすると、おとぎ話になるかもしれない。
昔、原子力推進派に「石油が使えなくなったら、原発は動くのか」と聞いたことがあるけれど、「それは無理」という答えが返ってきた。原発は全てのエネルギーを自活できないからだ。
それでは私たちはどうすればいいのだろうか。この本の最後の2章に、山ほどのすべきことが示されている。
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