化学物質はなぜ嫌われるのか
事故米転売事件は、予想以上の広がりを見せている。三笠フーズだけでなく、他の業者も事故米を食用として転売していたことが判った。まだ、まだ不正をしている業者が出てくる可能性がある。
事故米を原料の一部に使って製品を作っているところが、残留農薬が検出されないにも拘らず製品の自主回収が始まっている。アサヒビールなどは、焼酎65万本、約15億円の損失になるらしい。
事故米転売事件は、農薬やアフラトキシン汚染による人的被害が予測されることによる問題ではなく、ルール違反事件だ。マスコミは、ことさら農薬やカビ毒の問題を前面に出しすぎだったと思う。これまでも、基準値を超えているというだけで、大騒ぎするのがマスコミの常ではなかったか。
農薬というと過剰反応することが、社会にとって本当に良いことなのか、考えるべきだろう。リスクについての理解が進んでいる社会ではないので、マスコミの煽動に消費者は乗せられてしまう。致死量を超えた農薬が検出された冷凍餃子事件とは全く違う。
以前も松永和紀さんの『メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学』を紹介したけれど、さらに化学物質について非常に判りやすく解説した『化学物質はなぜ嫌われるのか』という本が出たので早速買ってきた。
この本を読むと、消費者の農薬や食品添加物に対するアレルギーは異常ということが良くわかる。現在、私達の生活ではゼロリスクはないことを理解すべきだろう。
今回の事故米程度の残留濃度の農薬やアフラトキシンよりもタバコやアルコールの方が発ガン性のリスクが大きくなるはずだ。
事故米をだまされて買った、焼酎メーカーや酒造メーカーは、風評被害を恐れて製品の回収をしているようだけれど、製品を分析して農薬やカビ毒が検出されなければ製品としては問題がないのだから、販売を続ければいいと思う。
それにしても農林水産省の農政事務所の無能ぶりは目を覆いたくなる。以前にも食肉偽装事件でも情報があったにもかかわらず騒ぎが大きくなるまで動けなかった。
白須事務次官は、三笠フーズの立ち入り検査をおこなった職員を処分する方針を発表している。きちんと対処して欲しい。
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