映画「劔岳 点の記」
午前中、映画「劔岳 点の記」を見てきた。ロードショーも終盤で、一日二回の上映となっていた。
評判に違わず、非常に良い映画だった。監督が、撮影監督の木村大作さんで、映像がすばらしい。
道具や装備が不十分な明治時代に、人を寄せ付けない立山連峰の劔岳の頂上に三角点を設置するために、測量技師と山案内人が挑戦し、ついに頂上を極めるまでの物語だ。
測量という仕事が、地道な作業の繰り返しで成り立っているのが良くわかる。今は、レーザーを使った測量機器やGPSがあり、資材運搬もヘリコプターなども 使える。地図も三角点は使うけれど、空中写真(測量では航空写真をこう呼ぶ)を使っているから、なんとも簡単な感じがするけれど、この映画を見ると先陣の 苦労に頭が下がる。
日本山岳会との登頂争いもからみ、当時の最先端の登山道具を使う山岳会との対比も興味深い。
現在の登山の装備は、高度な防寒や防水機能を持つ衣服や寝袋、軽量なテント、高性能の登山靴、GPS受信機など、当時と比べようもない。でも、最終的には登山は、何時の時代も、人の精神力と肉体しかないこともよくわかる。
映画としては、細かな道具類、建物などのセットに当時のものを使っているのは良いけれど、ただ考証があっているけれど、ボロボロの博物館入りしそうなものだったりと、金のない日本映画らしい。
ラジウスのストーブなどは、新品だったはず。陸軍測地部の建物のも、現在の明治の建物そのままだった。アメリカ映画だったら、しっかり金をかけて全部作っただろう。ディテールからちゃんと作り上げて欲しかった。「画竜点睛を欠く」ということだ。
それこそ、CGで処理してもいいのに。
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