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2009/08/17

半村良「湯呑茶碗」

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昔は、本を読むのは結構速い方だったけれど、老化で目が悪くなって、集中力がなくなって、長時間の読書ができなくなったのと、何度も読み返さなければ話を忘れてしまったりするので、時間ばかりかかっている。

久し振りに半村良さんの「湯呑茶碗」を一気に読み終えた。最近は、時間の使い方が悪く、読書も細切れになっていて、いつも消化不良の感じだったので、満足した。

半村良さんの本はほとんど読んでいたけれど、「湯呑茶碗」だけは読んだことがなった。一棟のマンションに暮らす38所帯の家族の物語で、それぞれの所帯の話が独立したオムニバス風だけれど、どこかでつながってくるという趣向になっている。

製紙会社の部長で定年退職した住人が50代の大家に言う言葉が、定年を迎えるきたきつねには、判るような気がする。

「定年が近づいたとき、再就職も考えました。もちろんですよ。このまま朽ち果てるには、まだ若すぎはしないかとね。ですが、人間として尊厳を維持しながら老いるというのは、競争社会を生きぬいて、一段ずつ這い上がってゆくより、もっと難しいことです。現代は積み重ねた経験が尊敬を受けるような時代ではなくなっているのです。去る者日々に疎し、ということばがありますが、老いる者も日々に疎しですよ。新しいものが、どんどん人間を追い越して行くのです。」

でも半村さんは、この本を書いたときはまだ50代前半だったはずで、作家の想像力は凄い。

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