90年比25%
7日の「朝日地球環境フォーラム2009」で鳩山民主党代表が、「日本の20年の温室効果ガス削減の中期目標を『90年比25%』」を明言した。この目標は、環境と経済成長を両立させ、国際競争力を高めるということことが前提とすれば、これからの日本に重くのしかかってくるだろう。
民主党は、主要企業に排出上限を課す排出量取引制度の導入して、不足分は海外から購入する排出枠でカバーしようと言うことだろうけれど、本当に可能だろうか。
現在以上に経済成長するということは、資源とエネルギーの消費は変わらないか、増えるということではないか。海外の排出権を買うことは外貨を稼がなければならないから、同じように資源とエネルギーが必要になる。
太陽電池や風力発電といった不安定なエネルギーにたよることが本当にできるだろうか。原子力は、本当に二酸化炭素を出さないか。まじめに考えると、困難が大きい。
25%削減する方法は、「消費を減らす」ことしかないのではないか。昭和30年代のエネルギーや資源の消費量は現在の数分の1だったので、こちらの方が実現の可能性が高い。
2020年までに、徐々に消費を減らしていけば25%に到達することは可能ではないか。経済発展というのは何か考え直す時期に来ているのではないか。
永久機関がないように、無限に経済成長する社会は存在し得ないのではないか。
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コメント
「無限に経済成長する社会は存在し得ない」のはそのとうりだと思いますが、消費を減らしてゆくと、失業者の問題が出てきます。それでなくとも失業率急上昇です。
日本が排出量をゼロにしても途上国の排出が確実に増えるので空気中のCO2量の増加を止めるのは絶望的でしょう。だったら開き直って経済のためにも目標数値なんて設定しなければよいし、温暖化してもそれほど悲惨なことが起こるとも思えないのですが。
投稿: 匿名さん | 2009/09/13 20:07
消費を減らすと失業者が増えますか?私がこれまで同じような話をした人びとの99%の人と同じ反応です。現代人は、この種の話にはすぐ思考停止になってしまいます。
答えは、石川英輔さんのこれまでの著書にあります。7月に発刊されて話題になっているChristopher Steinerの「$20 Per Gallon: How the Inevitable Rise in the Price of Gasoline Will Change Our Lives for the Better」にも書いてあります。
現代文明を支えている石油エネルギーが何をしているのかを考えると思います。
長くなるので、近いうちにちゃんと書きますね。
投稿: きたきつね | 2009/09/13 21:26
消費を減らすと失業者が増える、というのは、例えば自動車を買う人が減れば、工場の一部がストップし、最も弱い立場の派遣労働者が首を切られる、という状況は報道の通りで、常識的な感覚ではないかと思います。消費という言葉が「石油の消費」を意味するのであれば、又別の状況が考えうるかもしれませんが。
投稿: 匿名さん | 2009/09/17 22:10
現在は全て石油、石炭などのエネルギー源に依存していますから、消費という言葉が「石油の消費」を意味しています。
化石エネルギーは、膨大な量の労働を代替していますから、その労働が戻ってきます。
便利な化学原料や素材が無くなれば、自動車も作れなくなります。
ようやくAmazonから「$20 a Gallon」が届いたので、読みながらお返事します。英語は、頭が痛くなります。
そうそう最新刊のこの本にもきたきつねと同じ考えが書いてあると思います。
「石油ピークで食糧危機が訪れる」
石井 吉徳 著
出版:日刊工業新聞社
投稿: きたきつね | 2009/09/19 20:56