映画「沈まぬ太陽」
昨日10月24日公開の「沈まぬ太陽」を見に行ってきた。
山崎豊子原作の文庫本で5冊の超大作を一本にまとめているので、3時間30分近い長時間作品だ。だから、中休みがあるという変則な上映だった。確かに、おしっこの近い老人に3時間以上の映画は厳しいようだ。
主役の渡辺謙は頑張っているし、助演も良い配置だと思う。でも、テレビドラマを見ているようだった。
なかなか興味ある作品だとおもうけれど、やはりこのような大きなスケールを日本映画で実現しようとするのは無理なのかもしれない。
原作と違うのは、脚本家の創作活動だし、監督のイメージもあるから問題ではない。
脚本ではなく、空間の表現が足りない。監督は、大臣室、大企業の社長室、役員室を見たことがないのだろうか。
何時も日本映画を見て、ウソの付き方が下手すぎるし、映画制作者の想像力やパースペクティブが不足している。場末のクラブのようで、全体に安っぽい、もっとリアルにできると思う。
特に、CGのへボさ、チープさはどうだ。CGだから実写でできないことを作れるので、もっとできることがあるはずだ。今回の羽田空港のA滑走路からのジャンボジェットの離陸シーンは、酷すぎる。ジェット機の離陸は、同じ速度でスーッはいかない。監督は、一度、羽田空港で747の離陸を見てみるといいだろう。映画はリアルなウソの積み重ねだから、小さなウソほど本当らしくしなければいけない。
小日向さんは最近パイロット役が多いようなきがするけれど、何かあるのだろうか。
それにしても、ナショナルフラッグの日本航空のディフォールトが現実になりそうなこの時期に、この映画を公開するというのは、グッドタイミングというべきか、バッドタイミングというべきか・・・・。
族議員と天下り官僚や経営陣に食い物にされた「国民航空」は、架空の企業だけれど、実在の日本航空と重なってしまう。
日航ファンのきたきつねとしてはとても悲しいけれど、労務管理の悪い企業は、消えゆく運命にあるのではないのだろうか。
映画の中に、瀬島龍三をモデルにした龍崎がでてきて、お国のためにと国見(カネボウの伊藤会長)をNALの会長への就任を勧めるところろがあった。
瀬島龍三は、北支と満州にいた65万将兵をシベリア開発の労働力として停戦を取引したともいわれていて、そのシベリヤ抑留将兵の中にきたきつねの親父がいた。だから、瀬島龍三というと感覚的に忌避感がある。
本当に11年間の抑留生活で強制労働をしたのだろうか。ジュネーブ条約で将官は、特別に処遇されるのだから、非常に疑問が残る。
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