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2009/10/17

低エネルギー社会へ

091017_4

日刊工業新聞オンラインにパナソニックは医療福祉分野のロボット事業に力を入れるというニュースがでていた。

パナソニックは医療福祉分野をロボット事業の柱とし、商品化に力を入れる。15日、注射薬払い出しロボットシステムや、自動で車いすに変形する「ロボティックベッド」、電動アシスト技術を応用したカートなど開発中の技術を報道陣に公開した。医療福祉用ロボット事業で2015年には300億円の売上高を見込む。(日刊工業新聞 掲載日 2009年10月16日)

この記事を見ていて、当ブログの9月9日の「90年比25%」という記事へのコメントに対する答えを少し、書こうと思う。

産業革命以来、エネルギーによる人の排除が行われてきた。当時は受け入れる産業が無かったので、大量の失業者がでてラッダイト運動など、機械の打ち壊し運動が起こった。

それまでの西欧の文明は、アフリカからの奴隷によって支えられていたのが、強大な力を持つ蒸気動力に取って代わられたといってもいいだろう。

その流れが、ずっと続いてエネルギーによって人による労働を排除してきた。石油という廉価で、大量で、かつ液体という便利なエネルギーの発見で、その傾向が急速になっただけだ。先進国といわれる国は、その傾向が異様に進んでいる。その結果、機械にできないような、判断を伴う仕事や細かな仕事が残されてきたということになる。

石川英輔さんによれば、日本人は一日一人10万キロカロリー使っているということで、成人男子の一日分のエネルギーは2500キロカロリーだから、40人分の奴隷を使役していることになる。

自動車は、重量1トンと超す車体に60キログラムくらいの人を一人乗せて走っていることをみても明らかだろう。

ということで、エネルギーの大量消費は、人間を排除してきているので、エネルギーを使わなくなったとたんに、仕事はいくらでもでてくるということだ。低エネルギー社会は、人間回復の社会なのだろう。

それで最初の医療福祉ロボットに戻れば、エネルギー浪費社会は本来人が関わらなければ成り立たない医療や福祉からも人間を排除しようとしている。

ロボットは文句も言わないし、ストライキも起こさないし、病気でやすむこともないし、プログラムにミスがなければ間違いを起こすこともないからという理由だろうけれど、その背景となる安いエネルギーが大量に利用できる時代が続けばの話だ。安いエネルギーが使えなければ、一気にお荷物になってしまうことが、頭では判っていても、無限成長神話と奇跡のエネルギーへの期待が、石油ピークなどまやかしでしかないのだろう。

同じように低エネルギー社会を実現することは、あまりにも社会が化石エネルギーを基盤として巨大なシステムができているためにそれほど簡単ではなくなっている。

コンクリート、アスファルト、鉄で構築された都市、自動車と航空機で破壊し尽くされた地方の鉄道、海運システムなどは、回復するのが非常に大変になる。


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