差別を越えて
今朝日新聞の夕刊のコラム「ニッポン人脈記」は先週から「差別を越えて」という部落差別について関わりのある人びとが紹介されている。
きたきつねは、生まれも育ちも北海道だからなのだろうか、三十数年前に転勤でつくばに来るまで部落差別ということを全く知らなかった。
そのころ、職場でアルバイトの若い女性が沢山いて、若い職員と皆で昼休み卓球をしたり、休みにボーリングをしたり楽しんでいた。ある時、新しく入ってきたアルバイトの女性が、一番年かさのきたきつねのところにきて、「あの子は部落の人間だから口をきくな」といった。
えっ、こいつ何を言っているんだと思って、「なにバカなこといってるんだ」というと、離れていった。その後、その女性は、他の仲間にも言いに行ったらしいけれど、無視されたらしく、辞めていった。
それで調べてみると、被差別部落のことだということが判ったけれど、同じ人間を職業や住んでいるところで差別するということは全く理解できなかった。その後、色々な情報を知ることになったが、差別することは考えられない。
でも今でも差別にあって苦労されている人びとが沢山いるというのが不思議でならない。
差別部落については、三年ほど前から「ちくま」に沖浦和光さんが「青春の光芒-異才・高橋貞樹の生涯」ということで、「被差別部落一千年史」の著者で、部落解放運動の理論的指導者だった高橋貞樹さんのことを連載していて、現在も進行中だ。
そういえば、日本の歴史を勉強し直そうと思って昨年読んだ網野善彦さんの「日本の歴史をよみなおす(全)」(ちくま学芸文庫)にも「畏怖と賤視」という章で江戸時代から差別的身分がが社会的に固定された歴史がわかる。被差別身分について地域的な差があることもわかる。
北海道のような開拓地では、ほとんどの人びとは移民で、差別を逃れてきた人もいただろうし、だれも気にしない風土が醸成されてのだろう。
「橋のない川」を書いた住井すゑさんは、奈良県出身だけれど牛久沼の畔で生涯を終えられている。
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