映画「孤高のメス」
つくばのシネプレックスの試写会で6月5日公開予定の「孤高のメス」を見てきた。
地域医療に力を入れている外科医当麻鉄彦(堤真一)が、赴任してきたさざなみ市民病院で一人でも多くの患者を救うため治療を進める姿を、看護婦の中村浪子(夏川結衣)の目を通して語られてゆく。
20年くらい経過して、中村浪子の葬儀の火葬場から映画が始まるのだけれど、一人息子が医者になっていて、彼が遺品の中の日記を読み、その回想の中でドラマが進行する形になっている。
当麻医師の医療の姿勢や、当時法律で許されなかった脳死肝移植を強行するに至った経緯などを知っていく。
ドキュメンタリーではないから、虚構を本物らしく見せなければならないけれど、全体として無理が無く、きちんとつじつまがあっていて、破綻がないので、ドラマに引き込まれた。
手術の場面も、映像処理に無駄がない。
夏川結衣は、得意のふくれっ面が良かった。余貴美子が入ると全体に引き締まる。難をいえば、生瀬勝久の駄目外科医はクサ過ぎ。松重豊は物腰が医者というよりも頑固な職人にしか見えないのが残念だった。
最後のシーンで、人は縁で色々なところでつながっているということを考えさせられる。日本の多くの医師が頑張っていると思うけれど、当麻のような地方の医療を支えようとする医師が、沢山いてくれるとうれしい。
胸を打つシーンがあったので、周囲から嗚咽が聞こえていたが、この映画は泣けなかったけれど、非常に良い映画だった。
この映画は、見て絶対損はないと思う。
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コメント
タイトルを見た瞬間、手放してしまった漫画「メスよ輝け!!」が思い浮かんで、調べてみたら、同じ原作でした。漫画は15年も前でしたが、映画化になるということは、今でも通じる内容なのでしょう。
投稿: どら | 2010/05/25 19:53
どらさん
漫画「メスよ輝け!!」は知りませんでした。この漫画をベースに、原作者の高山路爛が本名の大鐘稔彦名義で、本作を『孤高のメス-外科医 当麻鉄彦』として小説化したものを映画化したというもののようですね。
集英社文庫―コミック版で再版されているようですね。いちど見てみます。
良いものは、普遍性があるのです。
投稿: きたきつね | 2010/05/25 21:49