食の安全と環境 「気分のエコ」にはだまされない
4月末に サイエンスライターの松永和紀さんの最新刊『食の安全と環境?「気分のエコ」にはだまされない』が日本評論社から発行された。
松永さんは、これまでも食の安全について、バックグラウンドの農芸化学をベースに、綿密な取材で『「食品報道」のウソを見破る-食卓の安全学』、『踊る「食の安全」-農業から見る日本の食卓』、『メディア・バイアス-あやしい健康情報とニセ科学』などの本を書かれている。
今回も、食の安全と安心は違うという、基本的な考え方をベースに、地産地消、農薬、化学肥料、食品廃棄、食料生産とエネルギー、有機農業、遺伝子組み換えなど非常に多くの話題を、事実とこれまでの科学的知見で分析していて、これがなかなか鋭い。
サブタイトルの「気分のエコ」とあるように、消費者の気分を利用した、信仰とも言える有機、減農薬農業、遺伝子組み換え食品などについては、色々な誤解があることを、科学的に解説してくれている。
きたきつねは、日頃から遺伝子組み換え反対運動は、運動のための反対であることを主張してきたから、この本を読んで胸のすく思いがした。実際、今年も那須塩原市での遺伝子組み換えトウモロコシの栽培試験が行われる予定で説明会が開かれたけれど、牛の数が多く人がすくないので金にならないので、遺伝子組み換え反対グループは誰一人参加しないという現実がある。
5800万トンの食料を輸入している日本の食、石油まみれの食料生産などは考えさせられる。著者のいうように。食べ残しを無くすだけで、どれだけエコになって、自給率が上がるか、もう一度じっくり考える時期に来ていると思う。
将来の食の問題を考えるための良い参考書になるだろう。
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