電気料金の「総括原価」という魔術と原発の関係
昼の散歩で、クサイチゴの実の上にムラサキシラホシカメムシを見つけた。
電力会社が原発建設を是とした理由を考えてみた。原発の建設を続けたのは、電気事業法で決められているコスト計算方法にあるのではないか。
電気事業法で電気料金は、「総括原価」に電気事業者の利益を上乗せすることによって決められることになっている。「総括原価」というのは、発電所にかかる費用、燃料費、運転費用、営業費用など発電・送電・電力販売にかかわるすべての費用をコストに組み込むことができるのことになるから、一般企業のようにコストを節減する努力をする必要がないということになるので、どんなにコストがかかっても絶対に損しないことになっている。
利益が法律で保証されているというのが電気事業なのだ。もちろん独占企業なのだから、こんな楽なことは無い。燃料費が上がれば、利益は変わらないように、電気料金は上げるだけでいいのだ。
しかし、「総括原価」といっても、発電設備などは減価償却していくので、黙っていると管理経費だけになって、電気料金を下げていかなければならなくなる。だから、「総括原価」を上手くいかすには、できるだけ設備投資を続けていくことが必要になる。といって、既存の発電所を改修したり、設備を交換するようなことでは、投資はそれほど大きくならない。
そこに出てきたのが、巨大な設備投資が可能な原子力発電所というものだ。1カ所で、数千億円の投資ができるから、こんな楽なことは無い。そして、原発を作り続ければ、巨大投資を続けることができるのだ。また、大きな設備投資が必要であるということは、同時にそこに利権も発生してくるということだ。
今回のように地震と津波が無ければ、廃棄物処理など知らんぷりして、原発の新設を続けることができたのに、原発推進派は悔しがっていることだろう。
「総括原価」というマジックがある限り、今回の原発事故にかかる経費はすべて電気料金に転嫁することも、法的には可能だ。だから、電気事業にはコスト節減などということばない。
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