「苦役列車」を読む苦役
ふとした弾みで西村賢太「苦役列車」を読んでしまった。2010年下半期の芥川賞受賞作ということは知っていたけれど、受賞作は読まないことにしていたのに。
私小説というものはこれほど苦役に感じなければいけないのか、読んでいる途中で反省してしまった。
父母からDVを受けて育ち、父親が新聞に顔写真が出る程の性犯罪者となり、両親の離婚、数度の転校、中学校卒業で日雇いで、何の目標もない一人暮らしの生活が続く。
この本を読んで思ったのは、親の子供の人生への責任の重さだ。何もしなくてもいいけれど、障害になるようなことはしてはいけない。
親が普通だったら主人公の北町貫多の人生は全く違ったものになっただろうに。本が好きだったから小説家になることができたけれど、全く絶望した人生を歩むこともあっただろう。
時々上野の不忍池の端を通ると、老人に交じって若いホームレスを見るけれど、北町貫多のような暮らしをしてきたのだろうか。
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