シベリア抑留記 凍りの掌
先週届いていたおざわゆきさんの「新装版 凍りの掌 シベリア抑留記」をゆっくり読むことができた。
日本漫画家協会賞コミック部門大賞受賞のこの本の存在を全く知らなかった。
きたきつねの父親は終戦後シベリアに抑留されてバイカル湖近くでシベリア鉄道の工事に使役され、3年後の1948年に舞鶴に復員したということもあって、シベリア抑留に関して興味がある。
おざわゆきさんの父親と一緒で、あまりシベリア抑留時代のことは話したがらなかったけれど、時折断片的に思い出話をしてくれた。
ネズミやタンポポなどいろいろなものを食べたとか、氷点下40度までは屋外作業をさせられたとか、真冬に死んだひとの埋葬は大変だったといった話だ。
この本を読んでいると、どこの収容所も同じだったようだ。胡桃沢耕史さんの「黒パン俘虜記」なども読んだけれど、このコミックの方が父親から聞いた話に近い印象がする。
20代前半の一番元気な時代の数年間、厳しい環境のなかで少ない食事で過酷な労働に耐えながら、死の恐怖と闘いながら、先の見えない日々をどのように過ごして来たのか、想像できない。
帰国した人たちは、思い出したくないことが多すぎて、語ることがあまりないようで、この本は非常に貴重な記録だ。
50万人以上の軍人、軍属が抑留され、6万にが死亡したシベリア抑留の歴史が風化しないよう願うばかりだ。
昨日のNHKスペシャル「作家 山崎豊子~戦争と人間を見つめて~」で、関東軍総司令部参謀の瀬島龍三のことがでてきたが、ソ連軍との停戦交渉時に日本側とソ連側との間で日本側から捕虜の抑留と使役についての密約が結ばれたという疑惑は払拭されているわけではないようだ。
日本は安倍総統の妄想で戦争への道を進もうとしているが、もし戦地で自衛官が捕虜になっても、ジュネーブ条約の対象外として軍人の捕虜として扱われないといったおかしな状況があるらしい。
| 固定リンク
コメント