谷口ジロー「父の暦」
昨年の2月11日に亡くなった漫画家の谷口ジローさんの
「父の暦」を読み終わった。
長い年月故郷に帰らずにいた主人公が父親の葬儀のために故郷に帰り、自分の知らない父の実像に接して、ずっと感じていたわだかまりが、自分が勝手に思ってきたことに気づき、心が解放されていく変化をうまく描いている。
父と息子の心のスレ違いというのは永遠のテーマで、読んでいるうちに自分と父の関係を振り返ることになり、涙が溢れてしまった。
特に、谷口ジローさんとは二歳しか違わず、物語は戦後の混乱期から、高度成長期と同時代を過ごしてきていて、非常に共感する部分が多かった。
谷口ジローさんは、ビックコミック、ビックコミック・オリジナル紙上でハードボイルド、動物もの、冒険やSFものを描いていたので、このような作品を描いていたのを知らなかった。
それにしても根なし草になってしまい、親兄弟を失ってしまった今。帰りを待ってくれる故郷を持つ人はうらやましい。
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