鳥と人間の文化誌
鳥と人間の文化誌は山階鳥類研究所の奥野卓司所長の著書だというので読み始めた。
日本の古代の人と鳥の関係や、若冲と鶴亭の花鳥画の見方、江戸時代の鎖国と生類憐の令の間違い、アビ漁・鵜飼や鷹狩の現状など興味深い内容だった。
ただ、「ニワトリの品種は、卵を産ませるための白色レグホンと、肉を食べるためのブロイラー」というような記述は、白色レグホンはニワトリの品種だけれど、ブロイラーは用途で比較にならないだろう。
野鳥と家禽を同列に扱ったりするのも奇妙だ。また、日本野鳥会とバードウォッチャーとの関係も誤解があるようだ。
鳥インフルエンザに関して「アジアから毎年渡ってくる渡り鳥は、インフルエンザ・ウイルスを保有して日本に渡ってきているものも少なくないはずだ」とか「その死骸から鳥インフルエンザ・ウイルスが発見されれば、ただちに半径10キロメートル以内のニワトリを含むあらゆる飼鳥を殺処分している」といった完全な間違いもある。
引用文献もきちんとあるのだけれど、気になる記述が散見されるけれど文化系の研究者だとこのようになるのだろうか。面白い本なのだけれど残念だ。
この本の版元の筑摩書房の校閲部門は優秀なのでこのような間違いについては原稿の段階で修正されているはずなのだけれどどうしたのだろう。
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