きたきつねは行旅死亡人に興味があるので、この本つい読んでしまった。
共同通信の遊軍記者が行旅死亡人データベースを見て、「本籍(国籍)・住所・氏名不明、年齢75歳ぐらい、女性、身長約133cm、中肉、右手指全て欠損、現金34,821,350円」という情報を見て、女性の身元を探しはじめ、最後に身元を明らかにするというノンフィクションだ。
行旅死亡人は、死亡した場所の地方自治体や警察一応身元や引き取り人を探すことをしていることを初めて知った。
遺産が多い場合には相続財産管理人の弁護士を依頼して調べることもわかった。
身元が分からなかったり、身元が判明しても引き取り手がない場合に官報に公示しているのだ。
対象の女性「田中千津子」さんについては、相続財産管理人が探偵を使って調査しても、同じアパートに40年も暮らしていたのに、大家でさえ本人のことを詳しく知らず、近所に知る人もなく、氏名は分かっていて年金手帳や貯金通帳があるのに住民票もなく戸籍もたどり着けていなかった。
行旅死亡人の公示には、氏名不詳とあるけれど、氏名は分かっていても存在を証明できないことが理由のようだ。
アパートの契約は同じ苗字の男性だけれど、こちらの素性も不明で、写真はあるけれど、近隣の人は誰も見たことがない。
製缶工場で働いていて、労災事故で右手を失っていても障害年金の支給も断ったり、色々な不可解なことが多いので事件、工作員という疑問があったりと、色々と調査の過程も面白い。
解決のきっかけは遺品のなかにあった珍しい名字「沖宗」の印鑑から、広島の街出身だということがわかり、身元が分かり、最後には姉妹にまでたどり着いている。
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