国立科学博物館の窮地
昨日国立科学博物館が標本・資料の収集・保管のための費用が、昨今のコロナ禍や光熱費、原材料費の高騰によって、資金的に大きな危機に晒されているということで1億円を目標とするクラウドファンディングを初めた。
開始後直ぐに1億円を達成し、1日で4億円を超えていて、11月5日まで続けるという。
国立科学博物館は国立の名称がついているけれど1999年に国の直轄機関から独立行政法人としなっていて、国からの運営費交付金で運営されてるけれど、交付金が年々減額される実態がある。
そのため、物価やエネルギー価格の高騰などがあれば対応できなくなるという悲惨な状況がある。
役に立たないアベノマスクに543億円も浪費していながら、博物館の重要な役割である標本・資料の収集・保管のための1億円をクラウドファンディングに頼らなければならないという残念な状況に置かれていることが非常に大きな問題ではないだろうか。
ミサイル防衛システムのPAC3に使われるパトリオット・ミサイル1基5億円でお釣りが来るだろう。
日本はここ30年急速に教育、学術に関する予算を減らしてきているだけでなく、その方向性まで即成果の出るものにシフトさせてきた。その結果がこのようなところに出てきているということだ。
科学を即見える成果がでないと軽視し、直ぐ実用化できる技術を重視するという近視眼的な無知蒙昧な政治家と役人が跋扈した結果だろう。
日本の高度成長を支えたのは、多様な科学の研究がベースにあったからで、ノーベル賞もその中から生まれてきていて、短期間にいくら金をつぎ込んでもできることではない。
促成の土台のない建物をいくら作っても、廃墟になるだけだろう。
博物館は、見世物などではなく多様な標本や資料を収集保存して、研究し、未来に引き継ぐ大切な役割を持った場所でもあることは、欧米が巨大な博物館を持っていることからも分かるだろう。
寄付が一気に目標額を超えたのは、科博に対する支援もあるだろうけれど、返礼品が非常に魅力的だったということもあるのではないだろうか。
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