池内 了:江戸の好奇心 花ひらく「科学」
きたきつねが好きなジャンルの本で、「江戸の好奇心 花ひらく『科学』」というタイトルのジャケ買いしてしまった。
江戸時代は、暇な武士だけでなく、庶民までが色々な科学を楽しんでいたけれど、あくまでも趣味の域を出ずに、技術として何か実用化すること目的にしていなかったというのが興味深い。
関孝和の和算、平賀源内の本草学からの博物学、田中久重(からくり儀右衛門)のからくりなどの有名人だけでなく、大名から庶民まで朝顔や菊などの園芸品種の改良やネズミや金魚の品種改良、自在金物など色々なものに好奇心一杯で取り組んできていたことを取り上げている。
江戸の寺子屋による読み書き算盤の教育の背景もあっただろうけれど、それ以上に高度な科学に庶民が取り組むことができるくらい自由な精神があったのだろう。
江戸時代の知への好奇心と知の集積があったからこそ、明治維新後の海外からの知識や技術の吸収・応用、戦後の技術立国にもつながってきたのだろうと思う。
茨城県でも土浦で傘式の地球儀を作成した沼尻墨僊やつくば市谷田部で五角堂や和時計を作った飯塚伊賀七などのように各地に好奇心いっぱいで科学を楽しんでいた人々がいたはずだ。
日本人のもつ好奇心は、江戸以前にも縄文式土器、巨大古墳、戦国時代の鉄砲生産でも発揮されていたのではと思ってしまう。
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