齋藤 孝「定義」
「定義」の著者、明治大学文学部教授の教育学者の齋藤 孝さんは、教育論の著書だけでなくビジネス書、コミュニケーションを基礎とした関連書籍をたくさん書いていて、興味のあることを上手くまとめているようだ。
この本「定義」は、歴史上の有名人が話したり、書いたりしたそのひとの考える言葉や事象の定義をおおよそ300項目集めたもので、それぞれの定義について著者の考えを述べる形のエッセイ集になっている。
ひとそれぞれに興味がある分野があって、十人十色の定義があるのだけれど、定義の項目の選び方を見ていると、著者は、人間、人生、社会、教育といったことばについて強い興味があって、神とか信仰や自然についてはあまり興味がないようだ。
岡本太郎の「芸術は爆発だ」といったものは入っていないけれど、探せばいくらでも出てくるだろう。
「国語辞典」の「定義とは概念の内容や用語の意味を明確に限定すること。また、その意味、内容」ということで何かを規定したり、基準となるものなのだけれど、この本のように個人的なものであれば辞書の語釈と違い普遍性をもつ必要はないから自由で良いのだろう。
著者が勧めているように興味のあることについて、自分の定義を考えるのも面白いかもしれない。
よく考えてみると、定義は、何かを規定したり、基準となるものだから、学術分野だけでなく社会全般が定義によって成り立っているのではないかと思いあたった。
憲法にしても法令にしても、定義の集まりだし、会社や団体などの組織も規定や規則などの定義にがなければ機能しないし、スポーツやゲームも定義されたルールがなければ成り立たない。
もちろん科学は、自然科学にしても、社会科学にしても定義の集合といえる。モノ作りも定義がなければ大量生産などは不可能だろう。
最近、政府は年金や介護保険のコスト削減のために高齢者の定義を現在の65歳から70歳からに変えようとしていて、そのニュースで高齢者の定義はもともとなかったものを決めたということを初めて知った。
前期高齢者を70歳にすると、後期高齢者は80歳ということだろうか。
高齢者の定義には科学的な根拠があるわけではないので、いくら定義を変えても、老化というのは年齢と関係なく、60歳前後から老化が進む人もいるから、現在の65歳で介護サービスを利用しているひとは介護保険の適用外になると大変だろう。
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