東京国立博物館の特別展「はにわ」
科博の特別展「鳥」見た後、腰の調子が良かったので東京国立博物館の特別展「はにわ」を見ることにした。
チケット売場は他の特別展もあるので、長い列だった。行く前にWebチケットを買っておけばよかったと反省した。
それにしても、自動販売機と窓口があって、その案内がなくて、誘導もしていないので、高齢のひとは自販機で戸惑っているし、総合展示だけの人も同じ列なのも気の毒だった。
入場の人の列の割には「はにわ」の会場はそれほど混雑していなかった。
古墳時代の約350年間に古墳の墳丘を飾った素焼きの埴輪に特化した展示で、東博の所蔵品だけでなく、各地の博物館や資料館の教科書などで知られている特徴ある埴輪が集められていた。
埴輪は秦の始皇帝陵の兵馬俑などのような王や有力者の死後の生活を支えるための副葬品だったのかもしれない。
時代や地域による埴輪造形の変化していく様子が分かるような展示もあって、埴輪の多様性が良く分かった。
今回は東博としては珍しく宮内庁書陵部以外の展示の撮影ができるということだった。見ていると会場が暗いのでコンデジよりもスマホで撮影した写真のほうが綺麗に撮れていた。
最初の部屋は今年の春に修理が完了した埼玉県熊谷市 野原古墳出土「踊る人々」が展示されていた。
「踊る人々」の埴輪は最近馬を引く人ではないかというような説もあるようだ。
初期の埴輪は円筒のもので、奈良県桜井市 メスリ山古墳出土の日本最大の円筒埴輪は、大きさよりも薄く仕上げた埴輪を焼き上げた技術に感心した。
大阪府高槻市今城塚古墳出土の大きな家形埴輪は、屋根に伊勢神宮の社と同じ千木と鰹木が載っていて、関連があるのだろう。
茨城県桜川市青木出土の「ひざまずく男子」の土下座している埴輪も興味深かった。
初期の埴輪には多分決まった様式があったようだけれど、中心地から古墳が離れたところに作られるようになり、造形も自由になってきたようで、茨城県ひたちなか市大平古墳群出土の「乳呑み児を抱く女子」のように子どもに乳を与える母親の姿などの埴輪も作られるようになってきたようだ。
今回の特別展のハイライトの群馬県太田市飯塚町出土の東博の「国宝 挂甲の武人」と同じ工房で制作されたのではないかと想定される4体の「挂甲の武人」 が比較できるように展示されていた。
違いがあるけれど非常に似た造形の埴輪だった。「国宝 挂甲の武人」は、平成館の考古室に時々展示されていて何度も見ているが、上半身だけでなく下半身も挂甲を纏っていることに気が付かなかった。
埴輪に残された顔料から色を復元した「挂甲の武人」は、白と灰色にアクセントに赤が入っている姿で、遠くからも当時最先端の鎧を纏った王の姿が見えたのだろう。
バードウォッチャーとしては動物埴輪の中でも鳥の埴輪をじっくり見てきた。
兵庫県朝来市池田古墳出土「水鳥形埴輪」は背中に雛を乗せたカモ?
大阪府羽曳野市誉田御廟山古墳出土「水鳥形埴輪」
群馬県藤岡市白石出土「ひよこ形埴輪」
和歌山市大日山35号墳出土「翼を広げた鳥形埴輪」
栃木県真岡市鶏塚古墳出土「鶏形埴輪」
埼玉県行田市埼玉出土「水鳥形埴輪」
魚を咥えている群馬県高崎市保渡田八幡塚古墳出土「鵜形埴輪」
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