国立科学博物館:古代DNA展
今日は「メートル法公布記念日」、「度量衡記念日」、「中央線開業記念日」、「ガッツポーズの日」。
見たいと思っていた国立科学博物館で開催中の特別展「古代DNA-日本人の来た道-」を見に東京にでかけた。
次世代シーケンサーを使って人類の足跡をたどる古代DNAの解析が可能となったことから4万年に及ぶ日本列島集団の成立のシナリオを、人骨とそこから得られた最新のゲノムデータと最新の考古学研究の成果を組み合わせて解説するこれまでにない展示となっていた。
この展示内容こそ国立歴史民俗博物館の常設展示で見せるべき内容だと思う。従来の歴史系の博物館は、特に文字資料のない遺跡からの出土物を分類・整理して展示するのが主で、最近国立歴史民俗博物館でもCTや放射性炭素年代測定などの最新技術を使った成果を含めた展示をしえいるけれど、古代人の核DNAのデータを加えるともっとダイナミックな世界が見えてくるのではないだろうか。
展示は年代順になっていて、古代ゲノム解析でノーベル賞を受賞したスバンテ・ペーボ博士のグループと共同研究で得られた旧石器人のDNA解析の結果から展示が始まっている。
石垣島で新しい飛行場を建設する時に発掘調査で白保竿根田原洞穴遺跡で見つかった2万7000年前の人骨とそのDNAから復元された頭部が展示されていた。
2万7000年前の白保竿根田原洞穴遺跡4号人骨
白保竿根田原洞穴遺跡4号人骨の復顔
縄文時代人の人骨に残されたDNAの解析結果ら得られた実体についての展示で、現代人のDNAの中にも縄文人のDNAが残っていることや、海岸部と山間部の縄文人の違い、6年前の特別展「人体」で公開された北海道の縄文人の復顔が展示されていた。
海岸部の縄文人の暮らし
山間部の縄文人の暮らし
船泊23号(北海道の縄文人)復顔
弥生時代の日本人は、縄文人の影響の多いものから少ないものまで幅のあることが分かる展示になっていた。
鳥取県青谷上寺地遺跡青谷上寺地遺跡8号人骨と復顔
古墳時代の人々もゲノムは現代の日本人に近いものから縄文系のDNAを色濃く残す人々もいて多様なDNAを持つ人々の集合だったことが示されていた。面白いと思ったのは、同じ古墳から見つかった男性と女性の血族関係をDNAで調べたところ、一人の女性が全く血族関係がなかったという分析だ。何があったのだろう。
琉球列島の古代人の九州・沖縄間に貝殻を交易する海上ルートによってDNAへの影響を展示していた。
日本列島北部の縄文人の形質、遺伝子を強く受け継いでいるアイヌの文化についての展示で、食物による縄文人とアイヌの歯の摩滅具合の違いは面白い。
オホーツクからの人の流入によって受けた文化の変化についても遺伝子も加味している。
古代のイヌは1万年前に日本にトライして長期間隔離された状態から、弥生時代に異なる系統のイヌが入ってきてからのイヌの移動と混血の歴史をDNAから説明している。縄文犬と弥生時代の渡来犬の復元モデルはわかりやすい。
DNAを用いた分析では、現代の日本猫の多くが平安時代前後に持ち込まれたネコを祖先にしているということ、イエネコの祖先とされるリビアヤマネコの剥製があった。
猫の足跡が残っている土器
中世以降の日本人の身分による顔の違いは、以前から日本館の常設展示にあったけれど、さらに精密な分析が進んでいるようだ。
江戸町人女性の頭骨と復顔は常設展示されていたもの。
最後に日本列島人の身長の変遷があって、時代によって随分違うものだ。
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