川島明の辞書で呑む

昨年からテレビ東京・BSテレ東で始まった深夜帯のバラエティー特番「川島明の辞書で呑む 」は、お笑い芸人を中心とした出演者が指定された最初の文字で始まる見聞きしたことのない言葉を国語辞典から探し出し、その言葉の意味をみんなで共有し、その言葉をツマミに語り合い、乾杯するという辞書バラエティーだ。

出演しているお笑い芸人の高学歴化が進んでいるので、話の展開が面白い。

使われている辞書は三省堂の「新明解国語辞典」と「三省堂国語辞典」の２冊で、同じ会社の辞書でも採用している語と語釈、例文など異なることも知ることができてよいだろう。

「新明解国語辞典」は語釈や用例にも特徴があり、アクセント表示、文法解釈など学習辞書として評判が高い。

「三省堂国語辞典」は発刊から60年を越える辞書で、改訂のたびに時代に即応した新しい語や項目を採用するの豊富な語を簡潔でやさしく説明しているところに評判がある。

ツマミにする言葉を探すには辞書を読まなければならないから、その中で言葉との出会いがあるはずで、この番組で辞書を読む人が出てくると良いと思う。

ネットで言葉や事象などを知ることが簡単にできるようになっているけれど、辞書を引いているときにのように隣接する言葉との出会いはないから、未知との遭遇や言葉の世界の広がりを得ることができないだろう。

小中学生の頃は辞書を使っていた人も、ネットに依存するようになっていたり、言葉について考えなくなってしまったりして日頃、辞書に触れることが無くなった人たちが関心を持ち始めてくれると嬉しい。

きたきつねは、知りたがり老人なので非常に楽しみにしていて、出演者が知らない語を知っていたりすると気分がいいし、知らない語があるとこれまた嬉しい。

７月には5,000人を集めた「川島明の辞書で呑むTHEライブ3」が開催さことが決まったようだ。

辞書について言えば、ほそぼそとだけれどマスメディアでも取り上げられていて、一定のファンを持っているようだ。

NHKラジオでも「国語辞典サーフィン」という番組があり、辞書によっていろいろな個性があることをテーマに、辞典そのものの魅力や言葉の面白さなどを語る番組で、「広辞苑」のサブカルチャーを担当したお笑い芸人で辞書に造詣の深いサンキュウタツオさんがMCを担当している。短い番組だけれど、新しい発見があって楽しい。

NHKの場合はらじる☆らじるという聞き逃し配信で過去１週間分は聞くことができる。

朝日新聞be on Saturdayに三省堂国語辞典の編者のひとりの飯間浩明さんが「街のＢ級言葉図鑑」を連載中で、新しい語や変わった使い方の語を生活の中から拾い出し、その語についての解説を試みていて、毎回楽しみにしている。

そういえば、2024年にNHK Gで連続ドラマになった三浦しをんさんの小説「舟を編む」を原作とした「舟を編む 〜私、辞書つくります」も面白かった。

NHK Gのドラマ「舟を編む 〜私、辞書つくります」は、来週６月17日から毎週火曜　夜10:00～10:45に再放送が始まるようだ。

三浦しをんさんの小説「舟を編む」は、2013年に石井裕也監督、松田龍平主演で映画化されたり、2016年10月から12月までテレビアニメになっている。