2024/09/05

国立科学博物館の特別展「昆虫 MANIAC」

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折角、東京に出てきたので秋葉原の電気街に行きたいと思ったけれど、腰の調子が悪いので、どうしようか迷っていた国立科学博物館の特別展「昆虫 MANIAC」を見て帰ることにした。

それにしても、新型コロナの感染拡大の3年間に特別展の入場料が大幅に値上げされて2,100円になったのは、財布に厳しくなった。

昆虫ということだけれど、昆虫だけでなくクモやムカデなどを含めた虫についての総合展示で、どちらかというと夏休み特集的で虫に興味がある小中学生をターゲットに虫大好きに誘導しようとした企画のような印象がある。

学問分野はある程度の人の塊と層が必要だから、虫好きから学問に進んでくれる人材を増やしたいという思いが伝わってきた。

きたきつねのような虫の世界には興味があるけれど、これから虫の世界に入り込むには無理な老人には、なるほど深い沼が横たわっているということがよく分かった。

里山で虫を見ていると、知識として知っておきたい知識は十分に吸収できたと思う。

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2024/04/30

池内 了:江戸の好奇心 花ひらく「科学」

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きたきつねが好きなジャンルの本で、「江戸の好奇心 花ひらく『科学』」というタイトルのジャケ買いしてしまった。

江戸時代は、暇な武士だけでなく、庶民までが色々な科学を楽しんでいたけれど、あくまでも趣味の域を出ずに、技術として何か実用化すること目的にしていなかったというのが興味深い。

関孝和の和算、平賀源内の本草学からの博物学、田中久重(からくり儀右衛門)のからくりなどの有名人だけでなく、大名から庶民まで朝顔や菊などの園芸品種の改良やネズミや金魚の品種改良、自在金物など色々なものに好奇心一杯で取り組んできていたことを取り上げている。

江戸の寺子屋による読み書き算盤の教育の背景もあっただろうけれど、それ以上に高度な科学に庶民が取り組むことができるくらい自由な精神があったのだろう。

江戸時代の知への好奇心と知の集積があったからこそ、明治維新後の海外からの知識や技術の吸収・応用、戦後の技術立国にもつながってきたのだろうと思う。

茨城県でも土浦で傘式の地球儀を作成した沼尻墨僊やつくば市谷田部で五角堂や和時計を作った飯塚伊賀七などのように各地に好奇心いっぱいで科学を楽しんでいた人々がいたはずだ。

日本人のもつ好奇心は、江戸以前にも縄文式土器、巨大古墳、戦国時代の鉄砲生産でも発揮されていたのではと思ってしまう。

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2024/04/23

人体の不思議

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今日は「世界図書・著作権デー」、「こども読書の日」、「国際マルコーニデー」、「世界本の日」。

天気が悪く、気温は平年並みなのだけれど、夏日があったりしていたのでなんとなく肌寒い感じがする。

札幌オリンピックのジャンプで活躍した笠谷幸生さんが亡くなった、合掌。78歳だった。

庭のブルーベリーは花盛りで、全部に実がついたら収穫が大変になりそうだ。

NHKBSのヒューマニエンスを見ているとDNAの研究によってこれまで人体についての常識が変わってきたことが分かる。

男女の性についてもハッキリと分かれているわけでなく、グラディエーションになっているという話も、体験的になるほどという印象だった。LGBTQ+との関係もあるのかなという気もする。

最近、ナショナル・ジオグラフィックの「なぜ女性は自己免疫疾患にかかりやすいのか、新たなしくみを解明」というニュースを見ていたら、女性の染色体XXのどちらかをランダムに不活性化するということに驚いてしまった。

女性の体では胎児の発達段階の初期に不活化は起こり、母親または父親由来のX染色体のどちらかが不活性化された細胞が、モザイク状に存在するということらしい。

ところが不活化が完全でなく、活性がのこった遺伝子によって自己免疫疾患が現れることがあるということらしい。

それと、X染色体には遺伝子が900以上の遺伝子が含まれているのに、Y染色体には100個程度の遺伝子しか含まれていないというのも驚いた。

Y染色体は、X染色体の一部で性を決めるだけの存在なのかもしれない。

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2024/04/02

茨城県自然博物館の企画展「恐竜vs哺乳類ー化石から読み解く進化の物語ー」

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今日は「国際子どもの本の日」、「図書館開設記念日」、「世界自閉症啓発デー」、「五百円札発行記念日」、「週刊誌の日」。

朝、新聞を取りに外にでると畑に薄っすらと霜が降りていた。

春休みで暇しているまごぎつねをつれて茨城県自然博物館で開催中の企画展「恐竜vs哺乳類ー化石から読み解く進化の物語ー」を観に行ってきた。

2億年以上前から恐竜が絶滅するまで同時代に生き、その後、恐竜は鳥類として、哺乳類は多様に進化し地球上に広がっていく歴史を紹介する展示となっている。

化石の展示が主なので派手さはないけれど、鳥の祖先の化石が沢山あったのは嬉しかった。

まごぎつねに、実物、レプリカ、剥製、模型の違いを教え込んで、ちゃんと理解したみたいだ。

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2024/03/22

坂上暁仁:神田ごくら町職人ばなし(一)

20240322_2 きたきつねは昔職人に憧れていて、成れなかったけれど職人の話は好きで、本やテレビにモノづくりが扱われていると見てしまう。

漫画「神田ごくら町職人ばなし」は雑誌連載は知らなかったけれど、ひょんなことから見つけて入手した。人気で増刷が続いているようだ。

江戸の町を舞台に桶職人、刀鍛冶、紺屋、畳刺し、左官の五つの仕事を扱っていて、黙々と手を動かしものを作る職人の姿を描いている。

畳刺し以外は全て女性の職人が主人公という、江戸時代を背景とすればちょっと珍しいのかなという印象があるけれど、仕事への向き合う真摯な姿勢が描かれている。

ストーリーは見どころがしっかりあるのはもちろん、それ以上に職人の扱うそれぞれの仕事のプロセスがきちんと描かれているのも嬉しい。

職人を扱った漫画としては三十年近く前に村野守美「職人尽百景」三巻があるけれど、「神田ごくら町職人ばなし」劇画調の職人の厳しさを表現しているが、こちらはコミック風で人情話になっている。

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2024/03/17

早良 朋:へんなものみっけ! 10

20240317_5 地方都市なのにハイレベルな学芸員と展示施設を擁する「かなで山博物館」を舞台に博物館のかかえる問題やいろいろなトピックスを題材にしたコミックスで、小学館の月刊スピリッツに連載中だ

「へんなものみっけ! 10」は、春にスズメバチの女王が1匹で巣を作り、子育てをして大きな群れにする話、ワニの標本を通して博物館の展示についての話、新種のツクバハコネサンショウウオの発見の話、植物フェスの話、博物館コラボフィギュア作りの話とトピックスを取り上げている。

ハコネサンショウウオを発見者の新種発見のチャンスについて「なんでも良く見て『自分の”違和感”を信じる』。」というセリフが良かった。

もなんでも沢山良く見ていれば「違和感」を感じるときがあるもので、それが発見につながったり、事故を未然に防いだりできる秘訣なのだろう。

フィギュア好きのきたきつねは、海洋堂をモデルにした海鳴堂に博物館コラボフィギュアを作ってもらう話で、懐かしいチョコエッグの話題や造型師の話が気に入った。

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2024/01/14

RFIDタグ

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めったに行かないユニクロで、数年前から会計のときにカゴごとセルレジ内のボックスに入れると一気に支払金額が表示され支払いできるようになっていて、ようやくRFID(Radio Frequency Identification)タグの利用が一般化したのかと感慨深く感じていた。

20年くらいまでに昔の職場でRFIDタグの実用化を検討していたことがあって、まだタグの性能が悪く、価格も高く普及には時間がかかると思っていた。

もちろん、20年以上前からSuicaでRDIDの技術は普及していたけれど、特殊な規格で読み取り距離が短いなど汎用性は低かった。

その後、担当を外れて、RFIDタグが物流の現場で使われ始めたのは知っていたけれど、小売の現場に普及していることはユニクロに行くまで知らなかった。

ユニクロのRFIDタグは商品タグに仕込まれていて、商品入荷の際の検品の省力化、レジでの精算時間の短縮化、棚卸時間の短縮化、万引きの防止など業務の効率化になっているらしい。

RFIDタグの普及はどのくらいなのか分からないけれど、万引きの多い業種には普及しているのではないだろうか。

先日こぎつねが誕生日プレゼントに送ってくれた海外メーカーのダウンジャケットの商品タグを見ていたら、ユニクロのものよりも大きいけれどRFIDタグを仕込んだものがあった。

知らないうちにユニクロ以外にもRFIDタグが増えていた。

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2023/11/02

茨城県自然博物館:企画展「地衣類」

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午前中の予定が早めに終わったので、坂東市の茨城県自然博物館に企画展「地衣類」見に行ってきた。

地衣類には興味はあるけれど、これまで近づいていなかった。

散歩している時に、木の幹や石の上で地衣類を見ることはあっても、あるということだけで終わっていた。

バードウォッチャーとしては、巣材として地衣類を使っている種があることは知っていたけれど、これもそれ以上に知ろうとはこなかった。

今回、企画展を見て、植物の名前もろくに覚えられないのに容量オーバーになりそうなのでやはり近づかないほうがいいような気がした。

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2023/09/08

ハルシネーション

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今日は二十四節気の「白露」、七十二候の「草露白し」、「サンフランシスコ平和条約調印記念日」、「サンフランシスコ平和条約調印記念日」、「国際識字デー」。

愛知県沖でゆっくり進んでいる台風13号の影響で関東は大雨になった。

雨が弱くなった頃を見計らって市長選挙の期日前投票に行ってきた。

帰ろうとすると風雨が強くなっていて、ほうほうの体で車に戻り帰ってきた。

生成型のAI(人工知能)のChatGPTが登場してから色々な場面で使われそうになっていているけれど、元々ChatGPTは次に来るのが確からしい単語を統計的に出力するので、その出力が統計的に合っていてもっともらしくても正しいという保証はない。

生成型のAIが事実に基づかない出力を生成する現象をハルシネーションというらしい。

ハルシネーションというのは「幻覚」とか「幻影」という意味の言葉なのだけれど、AIでは元となる情報が正しいか間違っているかに関係なく生成型のAI が幻覚をみているように回答を出力してしまうからということだ。

現在は、身の回りの装置や機器にAIが搭載されているけれど、それらは生成型のAIと違い目的と基本となる情報が明確で、かつ規則や制限があるので、ハルシネーションは起こすことはない。

生成型のAIは、社会的な常識を理解している訳ではないので、ファクトチェックをしなければ知識や常識の蓄積が少ないひとが利用すると非常に危険なことが起こりうる可能性があるということになる。

ハルシネーションをどう見つけて、使えるようにするのは自動でできるのだろうか。

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2023/08/08

国立科学博物館の窮地

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昨日国立科学博物館が標本・資料の収集・保管のための費用が、昨今のコロナ禍や光熱費、原材料費の高騰によって、資金的に大きな危機に晒されているということで1億円を目標とするクラウドファンディングを初めた。

開始後直ぐに1億円を達成し、1日で4億円を超えていて、11月5日まで続けるという。

国立科学博物館は国立の名称がついているけれど1999年に国の直轄機関から独立行政法人としなっていて、国からの運営費交付金で運営されてるけれど、交付金が年々減額される実態がある。

そのため、物価やエネルギー価格の高騰などがあれば対応できなくなるという悲惨な状況がある。

役に立たないアベノマスクに543億円も浪費していながら、博物館の重要な役割である標本・資料の収集・保管のための1億円をクラウドファンディングに頼らなければならないという残念な状況に置かれていることが非常に大きな問題ではないだろうか。

ミサイル防衛システムのPAC3に使われるパトリオット・ミサイル1基5億円でお釣りが来るだろう。

日本はここ30年急速に教育、学術に関する予算を減らしてきているだけでなく、その方向性まで即成果の出るものにシフトさせてきた。その結果がこのようなところに出てきているということだ。

科学を即見える成果がでないと軽視し、直ぐ実用化できる技術を重視するという近視眼的な無知蒙昧な政治家と役人が跋扈した結果だろう。

日本の高度成長を支えたのは、多様な科学の研究がベースにあったからで、ノーベル賞もその中から生まれてきていて、短期間にいくら金をつぎ込んでもできることではない。

促成の土台のない建物をいくら作っても、廃墟になるだけだろう。

博物館は、見世物などではなく多様な標本や資料を収集保存して、研究し、未来に引き継ぐ大切な役割を持った場所でもあることは、欧米が巨大な博物館を持っていることからも分かるだろう。

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