2025/02/03

本川達雄:ウマは走るヒトはコケる

20250203_2 国立科学博物館の特別展「鳥」を見に行った時に、本川達雄「ウマは走るヒトはコケる-歩く・飛ぶ・泳ぐ生物学」(中公新書)を読んでおいて良かったと思った。

本川先生は「ゾウの時間ネズミの時間」で哺乳動物の寿命が総心拍数に関連するというユニークな内容の本だったけれど、この本も脊椎動物の走る、歩く、飛ぶという運動を工学的視点を加えて分かりやすく解説したユニークな本だ。

哺乳類と爬虫類、四足歩行と二足歩行などの特徴、骨格との関係にヤング率とか、運動にエネルギー保存法則とか魚の動きに流体力学といった工学的な視点からの説明は、理系の人間には分かりやすいだけでなく、非常に分かりやすい説明で生物系の人間にも理解できるだろう。

特に、バードウォッチャーが知っておくべき、鳥が飛ぶことに特化するために取り入れた体の構造、呼吸、排泄、繁殖など生理的な機能などや飛行について詳しく説明されていて、バードウォッチャーに取っても非常に参考になる内容となっている。

目次を見ただけで読む価値が分かるだろう。

「鳥」展では「鳥のひみつ」のコーナーでも解説と重なっている部分があるし、我孫子市の鳥の博物館にも解説があるけれど、一般向けでかつ断片的な説明になっているのと違いより系統的でかつ具体的になっている。

きたきつねは学生時代、鶏の飼育環境について勉強したことがあって、養鶏場の片隅を借りて実験をさせてもらっていたことがあった。その時にブロイラーの解体を手伝わせて貰うことがあったので、鳥の体については結構知っていると思っていたけれど、誤認の修正も含めきちんと記憶が整理できた。

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2024/11/19

茨城県自然博物館:企画展「ミュージアムパーク30年のありったけ -いつも茨城県自然博物館はおもしろい!-」

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今日は「農業協同組合法公布記念日」、「緑のおばさんの日」、「鉄道電化の日」。

10日振りの冷え込みで、11月9日と同じくらい軽く霜が降りた。やはり8日の冷え込みのほうが強かったと思う。

茨城県自然博物館が30周年ということで始まった企画展「ミュージアムパーク30年のありったけ」を見に行ってきた。

この博物館は、オープンの時から通っていて、もう30年にもなるとは思わなかった。

今回の企画展で91回になるということだけれど、きたきつねは全ての企画展を見ていないと思う。年間3回平均企画展を開催するというのは大変だったと思う。

初期の企画展は手作り感のあるものだったような印象がある。

今回はこれまでの博物館の活動を網羅的にビジュアルにして展示しようという努力しているけれど、会場のサイズにしては盛り沢山すぎた印象がある。

博物館好きの誰かを想定して、その人が見たいと思うことを想定して企画を立てて欲しかった。

HNKのEテレの「ザ・バックヤード 知の迷宮の裏側探訪」のようなまとめ方は参考になるのではないだろうか。

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2024/11/08

国立科学博物館の特別展「鳥」

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先週のジャパン・バード・フェスティバルに合わせたように先週の2日土曜日から始まった国立科学博物館の特別展「鳥~ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系統~」を見にでかけた。

開館少し前に着いたけれど、もう人が並んでいた。Webで前売り券を買ってあったので入場の列に並んだ。チケット売場は9時前に空いていたけれど、Webでチケットを買っている人が多いようで、購入するひとは少ないようだ。

待っているとジョウビタキの声が聞こえてきて、スタッフの人も「ジョウビタキが見えます」というのだけれど、皆さんあまり興味がないようだった。

平日は「キヤノン×鳥展 コラボカレンダー」が先着200名に配布されていたので、貰うことができた。

科博ではこれまで鳥をメインにした特別展は初めてで、会場は8エリアに分かれていて、鳥類の起源から始まりゲノム解析による最新研究で進化系統が紹介され、それに従って目毎に剥製の展示と解説、「鳥の秘蜜」ということでトピックスの解説など盛りだくさんだった。

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2024/09/05

国立科学博物館の特別展「昆虫 MANIAC」

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折角、東京に出てきたので秋葉原の電気街に行きたいと思ったけれど、腰の調子が悪いので、どうしようか迷っていた国立科学博物館の特別展「昆虫 MANIAC」を見て帰ることにした。

それにしても、新型コロナの感染拡大の3年間に特別展の入場料が大幅に値上げされて2,100円になったのは、財布に厳しくなった。

昆虫ということだけれど、昆虫だけでなくクモやムカデなどを含めた虫についての総合展示で、どちらかというと夏休み特集的で虫に興味がある小中学生をターゲットに虫大好きに誘導しようとした企画のような印象がある。

学問分野はある程度の人の塊と層が必要だから、虫好きから学問に進んでくれる人材を増やしたいという思いが伝わってきた。

きたきつねのような虫の世界には興味があるけれど、これから虫の世界に入り込むには無理な老人には、なるほど深い沼が横たわっているということがよく分かった。

里山で虫を見ていると、知識として知っておきたい知識は十分に吸収できたと思う。

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2024/04/30

池内 了:江戸の好奇心 花ひらく「科学」

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きたきつねが好きなジャンルの本で、「江戸の好奇心 花ひらく『科学』」というタイトルのジャケ買いしてしまった。

江戸時代は、暇な武士だけでなく、庶民までが色々な科学を楽しんでいたけれど、あくまでも趣味の域を出ずに、技術として何か実用化すること目的にしていなかったというのが興味深い。

関孝和の和算、平賀源内の本草学からの博物学、田中久重(からくり儀右衛門)のからくりなどの有名人だけでなく、大名から庶民まで朝顔や菊などの園芸品種の改良やネズミや金魚の品種改良、自在金物など色々なものに好奇心一杯で取り組んできていたことを取り上げている。

江戸の寺子屋による読み書き算盤の教育の背景もあっただろうけれど、それ以上に高度な科学に庶民が取り組むことができるくらい自由な精神があったのだろう。

江戸時代の知への好奇心と知の集積があったからこそ、明治維新後の海外からの知識や技術の吸収・応用、戦後の技術立国にもつながってきたのだろうと思う。

茨城県でも土浦で傘式の地球儀を作成した沼尻墨僊やつくば市谷田部で五角堂や和時計を作った飯塚伊賀七などのように各地に好奇心いっぱいで科学を楽しんでいた人々がいたはずだ。

日本人のもつ好奇心は、江戸以前にも縄文式土器、巨大古墳、戦国時代の鉄砲生産でも発揮されていたのではと思ってしまう。

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2024/04/23

人体の不思議

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今日は「世界図書・著作権デー」、「こども読書の日」、「国際マルコーニデー」、「世界本の日」。

天気が悪く、気温は平年並みなのだけれど、夏日があったりしていたのでなんとなく肌寒い感じがする。

札幌オリンピックのジャンプで活躍した笠谷幸生さんが亡くなった、合掌。78歳だった。

庭のブルーベリーは花盛りで、全部に実がついたら収穫が大変になりそうだ。

NHKBSのヒューマニエンスを見ているとDNAの研究によってこれまで人体についての常識が変わってきたことが分かる。

男女の性についてもハッキリと分かれているわけでなく、グラディエーションになっているという話も、体験的になるほどという印象だった。LGBTQ+との関係もあるのかなという気もする。

最近、ナショナル・ジオグラフィックの「なぜ女性は自己免疫疾患にかかりやすいのか、新たなしくみを解明」というニュースを見ていたら、女性の染色体XXのどちらかをランダムに不活性化するということに驚いてしまった。

女性の体では胎児の発達段階の初期に不活化は起こり、母親または父親由来のX染色体のどちらかが不活性化された細胞が、モザイク状に存在するということらしい。

ところが不活化が完全でなく、活性がのこった遺伝子によって自己免疫疾患が現れることがあるということらしい。

それと、X染色体には遺伝子が900以上の遺伝子が含まれているのに、Y染色体には100個程度の遺伝子しか含まれていないというのも驚いた。

Y染色体は、X染色体の一部で性を決めるだけの存在なのかもしれない。

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2024/04/02

茨城県自然博物館の企画展「恐竜vs哺乳類ー化石から読み解く進化の物語ー」

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今日は「国際子どもの本の日」、「図書館開設記念日」、「世界自閉症啓発デー」、「五百円札発行記念日」、「週刊誌の日」。

朝、新聞を取りに外にでると畑に薄っすらと霜が降りていた。

春休みで暇しているまごぎつねをつれて茨城県自然博物館で開催中の企画展「恐竜vs哺乳類ー化石から読み解く進化の物語ー」を観に行ってきた。

2億年以上前から恐竜が絶滅するまで同時代に生き、その後、恐竜は鳥類として、哺乳類は多様に進化し地球上に広がっていく歴史を紹介する展示となっている。

化石の展示が主なので派手さはないけれど、鳥の祖先の化石が沢山あったのは嬉しかった。

まごぎつねに、実物、レプリカ、剥製、模型の違いを教え込んで、ちゃんと理解したみたいだ。

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2024/03/22

坂上暁仁:神田ごくら町職人ばなし(一)

20240322_2 きたきつねは昔職人に憧れていて、成れなかったけれど職人の話は好きで、本やテレビにモノづくりが扱われていると見てしまう。

漫画「神田ごくら町職人ばなし」は雑誌連載は知らなかったけれど、ひょんなことから見つけて入手した。人気で増刷が続いているようだ。

江戸の町を舞台に桶職人、刀鍛冶、紺屋、畳刺し、左官の五つの仕事を扱っていて、黙々と手を動かしものを作る職人の姿を描いている。

畳刺し以外は全て女性の職人が主人公という、江戸時代を背景とすればちょっと珍しいのかなという印象があるけれど、仕事への向き合う真摯な姿勢が描かれている。

ストーリーは見どころがしっかりあるのはもちろん、それ以上に職人の扱うそれぞれの仕事のプロセスがきちんと描かれているのも嬉しい。

職人を扱った漫画としては三十年近く前に村野守美「職人尽百景」三巻があるけれど、「神田ごくら町職人ばなし」劇画調の職人の厳しさを表現しているが、こちらはコミック風で人情話になっている。

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2024/03/17

早良 朋:へんなものみっけ! 10

20240317_5 地方都市なのにハイレベルな学芸員と展示施設を擁する「かなで山博物館」を舞台に博物館のかかえる問題やいろいろなトピックスを題材にしたコミックスで、小学館の月刊スピリッツに連載中だ

「へんなものみっけ! 10」は、春にスズメバチの女王が1匹で巣を作り、子育てをして大きな群れにする話、ワニの標本を通して博物館の展示についての話、新種のツクバハコネサンショウウオの発見の話、植物フェスの話、博物館コラボフィギュア作りの話とトピックスを取り上げている。

ハコネサンショウウオを発見者の新種発見のチャンスについて「なんでも良く見て『自分の”違和感”を信じる』。」というセリフが良かった。

もなんでも沢山良く見ていれば「違和感」を感じるときがあるもので、それが発見につながったり、事故を未然に防いだりできる秘訣なのだろう。

フィギュア好きのきたきつねは、海洋堂をモデルにした海鳴堂に博物館コラボフィギュアを作ってもらう話で、懐かしいチョコエッグの話題や造型師の話が気に入った。

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2024/01/14

RFIDタグ

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めったに行かないユニクロで、数年前から会計のときにカゴごとセルレジ内のボックスに入れると一気に支払金額が表示され支払いできるようになっていて、ようやくRFID(Radio Frequency Identification)タグの利用が一般化したのかと感慨深く感じていた。

20年くらいまでに昔の職場でRFIDタグの実用化を検討していたことがあって、まだタグの性能が悪く、価格も高く普及には時間がかかると思っていた。

もちろん、20年以上前からSuicaでRDIDの技術は普及していたけれど、特殊な規格で読み取り距離が短いなど汎用性は低かった。

その後、担当を外れて、RFIDタグが物流の現場で使われ始めたのは知っていたけれど、小売の現場に普及していることはユニクロに行くまで知らなかった。

ユニクロのRFIDタグは商品タグに仕込まれていて、商品入荷の際の検品の省力化、レジでの精算時間の短縮化、棚卸時間の短縮化、万引きの防止など業務の効率化になっているらしい。

RFIDタグの普及はどのくらいなのか分からないけれど、万引きの多い業種には普及しているのではないだろうか。

先日こぎつねが誕生日プレゼントに送ってくれた海外メーカーのダウンジャケットの商品タグを見ていたら、ユニクロのものよりも大きいけれどRFIDタグを仕込んだものがあった。

知らないうちにユニクロ以外にもRFIDタグが増えていた。

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