2024/08/08

とりのなん子:とりぱん(33)

20240808_2 COVID-19感染症で臥せっている時に「とりぱん」の最新号の33巻が届いていた。

2005年に漫画雑誌「モーニング」で連載が始まっているから、野鳥のバードフィーダーの話で19年も良く続いていると思う。

最初の頃から、動物の擬人化はいいこととしても、野鳥の絵が適当すぎるのは気になっていたが、漫画としてディフォルメするにしてもある程度の正確さが必要だと思ってきた。

毎号どこかに???というところがあったのだけれど、給餌の話だからと我慢してきた。今号でも90ページのジョウビタキ♂の絵を見てがっかり、どう見てもクロジョウビタキじゃないか。

編集者は自然について分からないにしても、ちょっと分かった人に見てもらっていないのだろうかと思っていた。

監修者はないにしても、作者は19年も鳥を見ていて双眼鏡や図鑑類を持っていないようで、双眼鏡を使って図鑑を見ていればもう少し、野鳥の表現が良くなるような気がしていた。

やはり鳥が好きという作者とバードウォッチャーの求めるものが違うのは仕方がないようだ。

最新刊が出る度に惰性で買っていたが、最新号を見ていてそろそろ止める潮時なのかな。

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2024/06/03

齋藤 孝「定義」

20240603_2「定義」の著者、明治大学文学部教授の教育学者の齋藤 孝さんは、教育論の著書だけでなくビジネス書、コミュニケーションを基礎とした関連書籍をたくさん書いていて、興味のあることを上手くまとめているようだ。

この本「定義」は、歴史上の有名人が話したり、書いたりしたそのひとの考える言葉や事象の定義をおおよそ300項目集めたもので、それぞれの定義について著者の考えを述べる形のエッセイ集になっている。

ひとそれぞれに興味がある分野があって、十人十色の定義があるのだけれど、定義の項目の選び方を見ていると、著者は、人間、人生、社会、教育といったことばについて強い興味があって、神とか信仰や自然についてはあまり興味がないようだ。

岡本太郎の「芸術は爆発だ」といったものは入っていないけれど、探せばいくらでも出てくるだろう。

「国語辞典」の「定義とは概念の内容や用語の意味を明確に限定すること。また、その意味、内容」ということで何かを規定したり、基準となるものなのだけれど、この本のように個人的なものであれば辞書の語釈と違い普遍性をもつ必要はないから自由で良いのだろう。

著者が勧めているように興味のあることについて、自分の定義を考えるのも面白いかもしれない。

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2024/04/30

池内 了:江戸の好奇心 花ひらく「科学」

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きたきつねが好きなジャンルの本で、「江戸の好奇心 花ひらく『科学』」というタイトルのジャケ買いしてしまった。

江戸時代は、暇な武士だけでなく、庶民までが色々な科学を楽しんでいたけれど、あくまでも趣味の域を出ずに、技術として何か実用化すること目的にしていなかったというのが興味深い。

関孝和の和算、平賀源内の本草学からの博物学、田中久重(からくり儀右衛門)のからくりなどの有名人だけでなく、大名から庶民まで朝顔や菊などの園芸品種の改良やネズミや金魚の品種改良、自在金物など色々なものに好奇心一杯で取り組んできていたことを取り上げている。

江戸の寺子屋による読み書き算盤の教育の背景もあっただろうけれど、それ以上に高度な科学に庶民が取り組むことができるくらい自由な精神があったのだろう。

江戸時代の知への好奇心と知の集積があったからこそ、明治維新後の海外からの知識や技術の吸収・応用、戦後の技術立国にもつながってきたのだろうと思う。

茨城県でも土浦で傘式の地球儀を作成した沼尻墨僊やつくば市谷田部で五角堂や和時計を作った飯塚伊賀七などのように各地に好奇心いっぱいで科学を楽しんでいた人々がいたはずだ。

日本人のもつ好奇心は、江戸以前にも縄文式土器、巨大古墳、戦国時代の鉄砲生産でも発揮されていたのではと思ってしまう。

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2024/04/24

矢部 太郎:プレゼントでできている

20240424_5 「プレゼントでできている」は矢部太郎の3年ぶりのコミックエッセイで、週刊新潮に2023年1月から6月まで連載された「プレゼントと僕」をコミックスにしたものだ。

前作の「大家さんと僕」、「大家さんと僕 これから」などとと同じように、下手なのか上手いのか分からないほんわかとしたキャラクターがまったく疑うことなく暮らし、仕事をし、何かをもらうことがが描かれている。

色々なものや言葉をもらう主人公は、なにかをもらうことは、きっと、何かをあげることにつながっていくことだと思うったのだろう。

心が汚くなってしまったきたきつねはもう過去に後戻りできないけれど、作者から何かをもらったので、どこかで何かを誰かにあげようと思う。

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2024/04/17

内田正男:暦のはなし十二ヶ月 第三版

Koyomi_12 きたきつねは暦に興味があって、特に昔の出来事や伝統行事の季節感は新暦では違和感があって、旧暦が良いと思っている。

暦について分かりやすい本を探していたら、ちょっと古い本だけれど内田正男さんの「暦のはなし十二ヶ月 第三版」を見つけた。

暦の歴史から、新暦、旧暦、二十四節気、七十二候などの説明、歴史的な出来事や短歌や俳句の季節感、日本や太陽暦での毎月の名前や日数、大安や仏滅が意外と新しく使われるようになっているけれど根拠がないことなど、非常に分かりやすく書かれていて、読んで良かった。

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2024/03/22

坂上暁仁:神田ごくら町職人ばなし(一)

20240322_2 きたきつねは昔職人に憧れていて、成れなかったけれど職人の話は好きで、本やテレビにモノづくりが扱われていると見てしまう。

漫画「神田ごくら町職人ばなし」は雑誌連載は知らなかったけれど、ひょんなことから見つけて入手した。人気で増刷が続いているようだ。

江戸の町を舞台に桶職人、刀鍛冶、紺屋、畳刺し、左官の五つの仕事を扱っていて、黙々と手を動かしものを作る職人の姿を描いている。

畳刺し以外は全て女性の職人が主人公という、江戸時代を背景とすればちょっと珍しいのかなという印象があるけれど、仕事への向き合う真摯な姿勢が描かれている。

ストーリーは見どころがしっかりあるのはもちろん、それ以上に職人の扱うそれぞれの仕事のプロセスがきちんと描かれているのも嬉しい。

職人を扱った漫画としては三十年近く前に村野守美「職人尽百景」三巻があるけれど、「神田ごくら町職人ばなし」劇画調の職人の厳しさを表現しているが、こちらはコミック風で人情話になっている。

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2024/03/20

鵜飼秀徳:絶滅する「墓」 日本の知られざる弔い

20240320_2絶滅する『墓』 日本の知られざる弔い」を最近の墓じまいや墓マンションの話かと思いタイトルで買ってしまったけれど、読み始めてしまってから日本の葬送と墓の歴史の話ということが分かったという面目無いことになった。

以前も鈴木理生の「江戸の町は骨だらけ」や歴史民俗博物館の葬送の展示などについて記事を書いていて、葬儀やお墓に興味がないわけでないので、興味深く読了した。

著者は京都の嵯峨嵐山にあるお寺の住職で、お墓に興味を持ち葬送とお墓の歴史と日本各地のお墓について調べた成果をまとめている。

これから多死の時代を迎えるだろうから、旧来の埋葬をどこまで続けることができるか、故郷を遠く離れてしまい実家の扱い、散骨・樹木葬といった多様な埋葬方法など話題は多い。

知っていることも多かったけれど、葬送とお墓について分かりやすく整理されていて、寺の年平均葬儀数は檀家の6%位ということや、魂と肉体を分けて埋葬する「両墓制」が近年崩壊しつつあるとか、庶民が墓を使うようになったのは江戸時代からとか、土葬がムスリムの増加で近年増加しているといった色々と面白い情報を知ることができた。

土葬について、西日本が多いように書かれているけれど、東日本でもまだ行われていることが抜けている。

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2024/03/17

早良 朋:へんなものみっけ! 10

20240317_5 地方都市なのにハイレベルな学芸員と展示施設を擁する「かなで山博物館」を舞台に博物館のかかえる問題やいろいろなトピックスを題材にしたコミックスで、小学館の月刊スピリッツに連載中だ

「へんなものみっけ! 10」は、春にスズメバチの女王が1匹で巣を作り、子育てをして大きな群れにする話、ワニの標本を通して博物館の展示についての話、新種のツクバハコネサンショウウオの発見の話、植物フェスの話、博物館コラボフィギュア作りの話とトピックスを取り上げている。

ハコネサンショウウオを発見者の新種発見のチャンスについて「なんでも良く見て『自分の”違和感”を信じる』。」というセリフが良かった。

もなんでも沢山良く見ていれば「違和感」を感じるときがあるもので、それが発見につながったり、事故を未然に防いだりできる秘訣なのだろう。

フィギュア好きのきたきつねは、海洋堂をモデルにした海鳴堂に博物館コラボフィギュアを作ってもらう話で、懐かしいチョコエッグの話題や造型師の話が気に入った。

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2024/03/15

大人の遠足BOOKプラス「はじめての野鳥観察 」

20240315_12 JTBパブリッシングから1月24日に「はじめての野鳥観察 (大人の遠足BOOKプラス) 」が発行になった。

野鳥図鑑と野鳥観察の基礎知識、探鳥地ガイドを盛り込んでいてコンパクトだけれど野鳥観察初心者に分かりやすい内容になっていいる。

野鳥図鑑は、日本野鳥の会の野鳥観察ハンディ図鑑「新・山野の鳥」、「新・水辺の鳥」の図版を描いた野鳥図鑑画家の谷口高司さんが200種を描かれていて、環境やエサなども分かりやすく紹介していて、美しく正確な内容となっている。

探鳥地ガイドは、JTBが監修しているということもあるのかアクセスし易い全国の有名探鳥地55カ所を紹介していて、見る可能性のある鳥の記載もあって、初めて訪れても収穫があるだろう。

特別編として初心者にはちょっとハードルが高い大洗~苫小牧航路の野鳥観察についても紹介されている。

バードウォッチングを始めたばかりのひとだけでなく、ちょっと背伸びをしてみたいというバードウォッチャーにも有益だろう。

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2024/03/14

アニメ「百姓貴族」

20240314_1 正月に帰省したこぎつねがこれ面白いよとおいていったのが「百姓貴族」DVDで、すぐに見たのだけれどブログに書かなければと思いながら、延び延びになってしまった。

きたきつねは一時農業問題について関心を持っていたので、DVDの内容以上のことを知っているけれど、折角こぎつねが持ってきたので見てみた。

「百姓貴族」は、「鋼の錬金術師」や「銀の匙」などで知られる漫画家の荒川弘さんが7年間、北海道の実家で農業に従事していた実体験をもとに日本の酪農や畑作農業の現実をコミカルに描いた月刊漫画雑誌に連載中エッセイ漫画をアニメ化したものだ。

さすがに農業現場にいたのでポイントを掴んでいて、北海道の酪農と畑作農業の実情が分かりやすく描いている。

アニメはTOKYO MX・BS朝日で放送されたもので、アニメ化第2期の制作が決定しているようだ。

DVDを買わなくてもYoutube TOKYO MXで無料で見ることができる。

このアニメとは関係ないのだけれど、酪農経験者といえば1月に発表された第170回直木賞受賞の河﨑秋子さんも酪農に従事し羊を飼育していた。

荒川さんは十勝地方の畑作酪農(畑酪)地帯の出身で、河﨑さんは根釧地方の草地酪農地帯の出身で、同じ酪農でも性格が違っていて作品にその雰囲気が出ているのかなとふと思った。

生業が性格いつながるというのは、実際は関係ないのかもしれないけれど、きたきつねの思いつき。

河﨑さんは集英社の月刊誌「青春と読書」に直木賞受賞前の昨年の9月から「父が牛飼いになった理由(わけ)」を連載し始めていて、家族の足跡を歴史を綴っている。

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