2022/09/16

山本健人:すばらしい人体 あなたの体をめぐる知的冒険

自分の体を含めある程度の知識は持っていっるつもりだけれど、やはりきちんと体全般や医療のことを正しく知りたいと思っていたので、書評を読んでいてこれは読まなくてはということで読むことにした

山本健人医師は外科専門医、消化器病専門医、消化器外科専門医などで、基本的な体に関する知識や医学や治療に関する知識、薬の作用、健康の常識などを非常にわかりやすく説明してくれている。

医学の世界も日進月歩で知見は日々新しくなっていて、ちょっと前まで正しいといわれていたことも現在では否定されていたりしていることがあって、「傷の消毒はしない」といった意外と知らないことが多かった。

現在パンデミックの最中のCOVID-19などを始め多くの感染症の原因について分かってきたのがわずか200年くらいで、現在では完治する感染症の治療ができるようになったのもまだそれほど時間が経っていないということも分かる。

日本人は癌による死亡が高いのは、医学の進展により寿命が長くなったために癌になる人が増えたということは確かだと思う。認知症も同じかな。

一番興味を持ったのは、おならと便を識別する肛門のことだ。BS-NHKの「ヒューマニエンス」を見ていると体の部分もただの反射ではなく考えているように思えてくるのが不思議だ。

著者が、今ある手持ちの材料で理にかなった説明ができたとしても「暫定的な正解」にすぎないという締めくくりが、何事についてもいちばん大切な言葉のようだ。

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2022/08/26

とりのなんこ:とりぱん30

とりぱんの最新号が発売された。

30巻達成記念に切手シート風ポストカードが付録だった。

週刊モーニングに連載されてから17年、初期の頃はコミックスになるのは雑誌掲載の一部だったけれど、途中から掲載された作品が全て収録されている。

里山散歩をしていると、諸行無常で自然は毎年同じようだけれど、同じではないことがわかるから、新刊が出るたびに途切れず買って読んでいても、面白い。

毎回書いているけれど、読者の興味を引くために仕方がないのだろうけれど野生動物の擬人化の度合いがちょっとだけ気になる。

次号は来年春らしいから楽しみにしておこう。

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2022/06/19

小林武彦「生物はなぜ死ぬのか」 (講談社現代新書)

人生の終末が近づいてきているので、真面目に死について考えているので、タイトルを見て面白そうだなと思って読んでみた。

生物学的に生物の生命の起源、絶滅と多様性、生物の死に方、ヒトの寿命と死に方、生物はなぜ死ぬのかとういうことに付いて説明する内容で、わかり易く描かれているけれど、DNA、RNAなどある程度生物学の知識がないと難しく感じるかもしれない。

結局、生物が多様性を維持して進化していくには壊れないと次ができないという「ターンオーバー」が必要だから死ぬということになるようだ。

読み終わって、生物学的な死だけで、ヒトの死は理解できないことがよく分かった。

生物学的な生命と死について一度は知っておくには良い本だと思う。

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2022/05/29

樋口広芳作、おおたぐろまり絵の「鳥博士と天才カラス」

家に帰ると文一総合出版の最新刊の「鳥博士と天才カラス」が届いていた。

樋口先生が、公園の水飲み場の水栓を嘴で開るハシボソガラスとの出会いと行動観察する過程をみせる絵本だ。

単に頭の良い天才カラスがいたということではなく、生物研究の方法をわかり易く解説する絵解きの教科書なのかもしれない。

絵も子供向けだからといってディフォルメした童画風ではなく、きちんと本物のハシボソガラスが描かれている。

小学校低学年の時に、興味あることをもっと知りたいと思って先生に教えてほしいと思っても、さらっと流されて非常に不満に思っていた。

子供向けだからと幼稚な扱いではなく、きちんとした方法を知りたがっているので、このような本が子供の時にあればと思ってしまう。

アリとダンゴムシが大好きなまごぎつねが興味を持ちそうだ。

カラスがクルミを車に轢かせて割る、線路に置き石をする、ひとを使って鳥の巣の場所を見つける、墓地から火の着いたロウソクを持っていって火事を起こす、カラスは貝をコンクリートの道に落として割る、鉄棒をつかってブランコをする、すべり台で滑って遊ぶといった面白い行動をすることが知られていて、好奇心が強く頭が良い鳥できたきつねも興味がある。

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2022/05/28

早良朋「へんなもんみっけ!7」

色々と忙しくて、読もうと思っている本の発売日を忘れてしまうことが続いている。

iPhoneのメモ帳に読みたい本リストに書いてあるのに、見るのを忘れるのだからこまったものだ。

「へんなもんみっけ!7」も1月に発売されていたのに、今頃になって気がついて注文するというていたらく。

幸い楽天のポイントが溜まっていたので送料も含めて無料だった。

漫画もコンスタントに面白い話を展開できることばかりではないのだけれど、今号は良い内容ばかりだった。

世界には分かっているようだけれど、本当は知らないことが多いことを説明した巻頭の話が非常に良かった。

主人公が務めている市営の博物館は、すごい学芸員と施設のようで、本当にあれば行ってみたい。

 

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2021/12/26

とりのなん子:とりぱん29

地方都市での四季折々の生活と自然をテーマにしたコミックのとりぱんも29巻にもなった。

鳥の話しだとつい買ってしまうけれど、毎回楽しく読むことになっている。

四季は巡って自然は同じようだけれど、毎年違っているし、それを見る作者も変わって来ているので種は尽きないだろう。

経験値があがってきて、非常に細かなことにも気がつくようになってきているのは嬉しい。

ただ、16年以上も鳥を見ているのに、ディフォルメをするにしても特徴を分かるようにできるはずなのに気になるところが時々あるのは残念だった。

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2021/12/14

齋藤幸平「人新世の『資本論』」

イギリスのグラスゴーでCOP26が結局何も決まらなかったと同じ状態で不完全燃焼で終了した。現在の人類が生きている世界は相当な厳しい状況にならなければ何も動かないということになるようだ。

地球温暖化問題は、調整とか合意といった政治の世界で解決できる問題ではなくなっているからこれからどうなるか、どうするかは全くわからない。

人新世の「資本論」は昨年の9月に発刊されて直ぐに読んでいたが、認識は正しいような気がするのだけれどなんだかもやもやしたものが残っていて、今日まで来てしまった。

人新世というのは、「人類の活動が地球の表面を覆い尽くして生態系や気候に影響を及ぼすようになった時代」とノーベル化学賞を受賞したパウル・クルッツェンが造った言葉で、ちょっと大げさな気がする用語だ。

たかだか百年単位の人類の活動が漸新世や更新世のような地質時代に相当するくらい地球に与えた影響が大きいとかといえばそうではない。人類が自らの活動で現生の生物全体の生存を脅かすようになってしまったということで手前勝手なことに過ぎず「時代」くらいのくくりでしかない。

46億年の地球の歴史の中では小さな絶滅の瞬間でしかないし、地球という惑星にとっては、過去の変化に比べれば現在の気候変動問題といわれる状態は問題にもならないことだ。

何億年もかけて光合成で蓄えた炭素を一気に開放すれば、もとの大気中に高濃度の二酸化炭素があった時代に戻るに決まっている。

キャッチーな言葉を選んだのだろうけれど、この本のタイトルにするにはそぐわないような気がしている。

この人新世とマルクスの資本論がどうつながるかわからなかった。ただ、地球環境問題は資本主義では解決できないというのが、本書の趣旨のようだ。

本書では資本主義の限界について述べられているけれど、著者の切り口と違うけれど経済学者の水野和夫が2014年に書いた「資本主義の終焉と歴史の危機」(集英社新書)や生物学者の本川達雄の「生物学的文明論」(新潮新書)でも生物学的なアプローチで明らかだろう。

資本主義は、著者が外部化としている「安い原料と労働力」と「無限の消費」というサイクルが切れた途端に崩壊するシステムで、安い原料の中に環境も入っているから環境が極めて大きなコストになってしまったということになる。

著者がいっているようにSDGsも新しい需要を創出するためのものでしかないのは明らかだろう。

しかし、著者は地球環境問題の解決はマルクス主義でコモンズを広げていくことで解決できるように考えているようだけれど、強欲な資本主義と渡り合えるのだろうか。

著者の現状のままでは行き着くしかない終末社会をイメージできていないような気がする。
基本的に現状のままで持続させるということを前提に考えているのではないだろうか。

地球環境問題は1972年のローマクラブの報告書「成長の限界」の予想の通りになりつつあって、根本原因は人類の環境と資源の浪費であり、解決方法は使わないという選択しかない。

そのことが判っていながら半世紀を省エネルギー、脱炭素などといった小手先の対応だけで過ごしてきてしまっていて、もう後戻りできない状況になってしまったのではないか。
自然現象は指数関数的に変化するので、現在の温暖化のスピードは近い将来急速になってくることは想定しなければならないだろう。目に見える減少は地球の規模の効果で遅れているだけだ。

それに対する現在の社会の対応は、都市への人口集中を止めず、電気自動車や再生エネルギーなどの新しい産業を創るなど、ウロウロしているだけで終末への覚悟はない。

地球は現状の人間活動を許容するほどの人類にとって好適な環境を維持するほどの容量がないということだ。

人新世という大風呂敷を広げるなら、著者にはこのままでならの行き着く先を明示して、より具体的な社会の対応方向を示してほしかった。

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2021/11/13

決定版 日本のカモ識別図鑑

今日、鳥友から氏原巨雄・氏原道昭著「決定版 日本のカモ識別図鑑」をプレゼントしてもらった。

欲しいと思っていたが、色々と必要なものがあるので、優先度を考えて買わずにいたので、非常に嬉しい。

日本で見られるカモ、見られる可能性のあるカモが網羅されていて、全羽衣をイラストと写真で解説している。

もう一つの特徴は、他のカモ同士のハイブリッドやメスの雄化個体についての解説は新しい試みだ。

コケワタガモ類やケワタガモ類は見たことがないので実際に見たいものだ。

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2021/08/02

黒沢令子、江田真毅:時間軸で探る日本の鳥 復元生態学の礎

鳥と書いてあると直ぐに反応する悪い癖で面白そうな書名だったので読んでみることにした。

これまでの鳥関係の書籍では生態とか分類に関係するものが多く、民俗学的なものもあるけれど自然科学系の切り口ではなく社会科学系に偏ったりしているるような気がしていた。
本書は日本列島における鳥類の歴史と未来を古生物学、分子生物学、考古学、民俗学、鳥類学、保全生態学から多角的に読み取る方法もあることを知るための入門書のようだ。

まごぎつねが一時恐竜が大好きで博物館の化石を見に付き合っていて、鳥の化石も見ることがあったけれど、始祖鳥とか羽の痕跡とか程度でしかなかった。

ところが日本国内でも鳥の化石が意外なほど多く産出していて、その研究が行われているとは知らなかった。

日本産野鳥の目録は改訂作業が進んでいるようだけれど、世界的に遺伝情報による分類の変更が進んでいてIOCと日本鳥学会の目録の違いが気になっている。

遺伝情報からみた日本産鳥類の歴史は興味深かった。本書とは関係ないが、日本鳥学会は科学の世界で自縄自縛の状態のようだから、実務的なバードウォッチング向けの鳥類目録が必要なのかもしれない

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2021/07/28

浅間茂:虫や鳥が見ている世界—紫外線写真が明かす生存戦略

モンシロチョウはオスとメスで紫外線の反射吸収が違っていてオスは紫外線で見ると黒っぽっく、メスは白く見えるということは何かで読んで知っていて、昆虫は紫外線が見えるらしいということは知識としてある。

ただそれは知識としてあるだけで実際に検証したわけではない。

中公新書のカタログが届いたので漠然と見ていたら、本書の解説に引っかかった。紫外線が見えるのは昆虫ばかりかと思っていたら、鳥も紫外線が見えるらしい。

バードウォッチャーとしては、鳥に関係するなら読んでおかなければということで早速入手した。

ヒトなどの大型の類人猿は「赤・緑・青」の光の3原色、犬などの大部分の哺乳類は「赤・青」の2原色、鳥や昆虫は「赤・緑・青・紫外線」の4原色を見分けることができるという。

ヒトが見ている世界は犬や猫よりも色彩豊かな世界を見ていることは想像できるけれど、鳥や昆虫は人が見えない紫外線で見えている世界は想像できない。

紫外線の波長によって違った色(?)が見えてるのだろうか。

さて本書では、紫外線が写るカメラの画像を使ってヒトが見える画像として見えるようにして、解説してくれている。

紫外線で見ると、三原色で見えるものと違ったパターンの模様がが見えてきて、モンシロチョウに見られるようにお互いに種や雌雄を識別しているようだ。

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